札幌高裁平成28年11月18日判決(判例地方自治418号50頁)は、懲戒処分等の対象事実である非違行為が音楽ソフトの無断複製とインターネットのオークションサイトに出品し30万円の利益を得たということを基礎に、対象者のこれまでの勤務状況が良好だったこと、真摯な反省等のほか、免職処分が教員の地位を失わせるという重大な結果を招くことも踏まえ、「本件免職処分は、社会観念上著しく妥当性を欠き、処分行政庁がその裁量権の範囲を逸脱したものというべきである。」として、懲戒免職処分・退職金不支給決定を違法として取り消しました。

 

地裁は処分を有効としていたものですが、非違行為の内容からすれば高裁の判断が妥当と思われ、地裁判断との相違も含め、実務上、参考になるものです。

東京地裁平成28年4月28日判決(判例時報2319号49頁)で、判例時報の解説欄に、多数の参考裁判例、文献が載っています。『説明を受けていれば歯を削らなかった』との因果関係は認められないとして、損害は、慰謝料30万円、弁護士費用3万円のみとしたものです。

 

必ずしも被害救済に資する判断のみではありませんが、裁判所の思考も含め、実務上参考になると思われます。

東京地裁平成28年1月27日判決(判例秘書L07130125。REITO105号84頁に概要あり)は、居室の天井水漏れについて、「被告Y2は、瑕疵担保責任について除斥期間(期間制限特約により引渡しから3か月)が経過していると主張するが、被告Y1が、本件建物の301号室にかつて水漏れがあったことを認識しながら、本件売買契約締結の際に原告に対して同室にそれまでに雨漏りが発生したことはないとして事実と異なる告知をしていたこと(認定事実(3)及び(10))などに照らすと、被告Y1は、水漏れに関して殊更に隠そうとする意図を有していたと考えられ、同契約の時点において、同室に水漏れが存在することを認識していたと考えるのが合理的である。そうすると、被告Y1は、同契約の締結に当たって、同室の水漏れの事実を知りながら、原告に告げていなかったことになるところ、被告Y1について、瑕疵担保責任の除斥期間を短縮する期間制限特約により免責することは、信義に著しくもとるものであり、悪意の売主につき瑕疵担保責任免責特約の効力を否定する民法572条の法意に照らし、許されないというべきである。」として、159万円の賠償を命じました。

 

瑕疵担保短縮特約はよく見られる規定ですが、その適用制限例として、実務上、参考になるものです。

 

※ 民法572条

(担保責任を負わない旨の特約)

第五百七十二条  売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

国民生活センターHPで注意喚起がなされています。
消費生活相談の実感としても、被害が多数生じています。


※ 国民生活センターHP

概要
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170511_1.html

詳しいPDF(上記概要からもアクセスできます)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20170511_1.pdf

原審(東京地裁)は、転借人が無断転貸を知っていたこと等から転貸人の義務を限定的に判断しましたが、東京高裁平成27年5月27日判決(判例時報2319号24頁)は、無断転貸により転貸人が十分に義務履行できないリスクは、無断転貸を行っている転貸人が負うべきものとして、排水管の不具合等に関し義務違反を認め、690万円超の賠償を命じました(上告不受理)。

 

無断転貸における転貸人の義務の範囲を検討するうえで参考になると思われます。

津地裁平成28年3月24日判決(判例地方自治416号87頁)で控訴棄却で確定しています。国家賠償は認めらえなかったようです。

 

情報公開実務上参考になるものです。

「労働準関係法令違反に係る公表事案」(※ 各都道府県労働局が公表した際の内容を集約したもの)として公表されています。

http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf

今後、被害救済・予防のための有益な使用方法が検討される必要もあろうかと思われます。

 

違法な釈明権行使を行った裁判官は、消費者側代理人退席後に、しかも別件事件について消滅時効の主張を促すなどの釈明権行使を行ったというもので、神戸地裁平成28年2月23日判決(判例時報2317号111頁)は、「民事訴訟の根幹に関わる当事者の平等取扱いに係る利益に対し、裁判官が職務上必要とする配慮を明らかに欠いたものといえるから、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認めうる特別の事情があるというべきである。」と述べ、国家賠償(5万5000円)を命じました。

 

本件のような違法な釈明権行使を行う裁判官の存在は司法へ信頼を根底から失わせ得るものであり、強い危機感を感じるところです。

文部科学省の科学研究費補助金(科研費)関係の報告です。平成28年度の報告が下記アドレスから見ることができます。
日本のほかドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、ブラジル、中国の概要・雰囲気を感じることができ、参考になるものです。

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170330_4.html

会社法9条は、(自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任)として「自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。」と規定しており、かつて名板貸責任といわれていたものです。神戸地裁姫路支部平成28年2月10日(判例時報2318号142頁。金融商事判例1512号8頁)は同条の類推適用によってホテルの法的責任を認めたものです(賠償額約8727万円)。平成17年改正商法前の商法23条に同様の規定があり、最判平成7年11月30日もスーパーマーケット、同店内のペットショップの事案で、同条類推適用によってスーパーマーケットの責任を認めました。なお、最判昭和43年6月13日において営業は同種である必要があるとはされていますが、同種性は外観等から判断されるものと理解されています。

 

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