2011年10月アーカイブ

福岡地裁は、本件労働者につき「定年を迎えた後も債務者(注・勤務先)での就労が認められ、少なくとも64歳に達するまで雇用が継続されるとの合理的期待があったものということができる。」「本件雇止めについては、労働契約法16条の解雇権濫用法理が類推適用されると解することが相当である。」として、雇止めを違法・無効と判断しました(労働判例1031号5頁)。

福岡地裁も考慮し高年齢等の雇用安定等に関する法律9条1項は、高年齢者雇用確保措置義務を定めています。

年金支給の実態、高齢者の生活状況、いきがい等の観点から、高年齢者の労働継続が大きな課題ですが、上記裁判例は、こうした社会実態も考慮に入れた判断であり、今後の同種事例においても参考になると思われます。

 

不況等を理由とするいわゆる整理解雇の事案です。東京地裁は「業務上の必要性に比較して、被告会社の解雇回避努力義務は明らかに不十分で、本件解雇は、権利の濫用であり、無効である。」と判示しました(労働判例1031号48頁)。

近時の経済状況や労働形態の多様化からか、安易なリストラ・首切りがなされることも多いですが、解雇は労働者・その家族の生活を根底から失わせるものであり(韓国では「死刑」と言われているとのことです)、とりわけ整理解雇については、労働者に落ち度がないものですから、今後も解雇の合理性・適法性は厳しく審査されるべきと思われます。

 

労働災害 審査請求決定一覧(厚生労働省HP)

労働災害における給付等は、労働者の最低限度の生活を維持するためにも重要なものですが、その手続・判断内容は、必ずしも労働者の視点に立ったものばかりではないとも思われます。もっとも、こうした評価はひとまずおくとして、厚生労働省は審査請求(労災申請に対する1回目の判断へ不服がある場合の手続き)の決定例を公表しており↓、判断傾向等を伺うにはひとつの材料です。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/kettei_jian/index.html

建物・土地の売買においては、相当期間経過後、瑕疵や説明義務違反等の問題が発覚・現実することも多く、こうした事案においても参考になる裁判例と思われます(判時2121号110頁)。

 

3階建て診療所のエレベーターの常時遠隔点検及び監視サービスを内容とするメンテナンス契約に関し、業者側が契約条項記載の解除権に基づき契約を解除した事案につき、契約者間の信頼関係に支障が生じた発端は、本件遠隔監視装置が正常に機能しないという業者側の責めに帰すべき事由であることなどから、信義則上、業者側から解除することは許されない旨判断しました(東京地裁平成23年4月15日判決・判例時報2120号37頁)。

個別事案の判断ではありますが、エレベーターが日常不可欠の設備であること、技術性・専門性は業者のみが備えていること等からすれば、本件ような契約(関係)で業者側から解除がなされた場合の利用者の不利益は少なくないと思われ、同様のトラブルにも参考になると思われます。

 

このアーカイブについて

このページには、2011年10月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2011年9月です。

次のアーカイブは2011年11月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

カテゴリ

ウェブページ


千葉晃平法律事務所