2012年3月アーカイブ

東日本大震災で甚大な被害を生じている「宅地被害」につき、『宅地の来歴情報』を明らかにし宅建業者の説明義務に組み込むなどの制度提言を行っています。同意見書はH24・3・15付けで採択され、同月30日、国土交通大臣、各政党、都道府県、政令指定都市、建築士・宅建業者・施工業者関連に対して執行され、衆議院議長・参議院議長らへ参考送付されています。

『宅地被災救済及び予防のための法改正等を求める意見書』↓

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/120315_14.html

派遣先企業(三菱電機)の派遣契約中途解約につき、「派遣先事業者が、派遣労働者を受け入れ、自社において就業させるについては、労働者派遣法上の規制を遵守するとともに、その指揮命令下に労働させることにより形成される社会的接触関係に基づいて派遣労働者に対し信義誠実の原則に則って対応すべき条理上の義務があり、ただでさえ雇用の継続性において不安定な地位に置かれている派遣労働者に対し、その勤労生活を著しく脅かすような著しく信義にもとる行為が行われるときには、不法行為責任を負うと解するのが相当である。」との規範(基準)を示したうえ、「しかして、上記一連の経過の中での被告三菱電機による原告らに関わる労働者派遣契約の途中解約は、いかに同被告が法的に原告らの雇用主の地位にはないといえ、著しく信義にもとるものであって、ただでさえ不安定な地位にある派遣労働者の勤労生活を著しく脅かすものであ」るとして、派遣元企業との共同不法行為責任を認め、損害賠償(慰謝料・弁護士費用)を命じました(労働判例1040号5頁)。

派遣法・そのシステムは、労働者の生活そのもの極めて不安定・侵害するようなシステムを生み出しており、被害救済の場面でも困難さをうみだしていますが、本判決は、そのような現状にあって、派遣労働者の被害救済にむけた実務的(取り組み・法律構成)に参考になるものと思われます。そもそもの問題は派遣法・そのシステムにあるものですから、撤廃・是正が必要です。

 

「区長、議長車のガソリン代の請求書(ガソリン会社)の写し、又はガソリン会社からの明細書(1回又は何リットル入れたか分か物)」などと記載され情報公開請求がなされたことに対し、渋谷区が、給油日、伝票№、車番、商品№、商品名、数量、単価等の記載された文書を保有しながら、区長車・議長車毎の区分をしていなかったことから「当該文書については、不存在」として非開示処分を行ったことにつき、東京高裁は「区長車及び議長車の車両番号が記載された本件内訳書及び納品書が存在するにもかかわらず、渋谷区長において、本件公文書は存在しないととの理由で本件非開示処分を行ったことについては、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたとは到底認め難い。」と判示し、渋谷区に対し慰謝料金10万円の支払いを命じました(判例地方自治350号9頁)。

情報公開請求が、市民の基礎的権利であることに鑑みれば当然の判断と思われますが、他方、情報を隠したがる行政側の体質を端的に示す事例でもあります。本件のみが特殊事案ではないことに留意し、引き続き、行政側へきちんとした対応を求め、また市民の立場から行政側の対応をチェックしていく必要があるでしょう。

 


無料110番のご報告(仙台地区3月8、9日実施のもの)

下記日程で開催した無料110番、7件の相談がありました。

90歳を超える方への詐欺的被害、銀行・証券会社からの勧誘等の相談など、投資被害が平穏な日常生活に広く被害を出していることを、改めて痛感させられる内容でした。被害救済に取り組むメンバーと、引き続き、被害の予防と救済に取り組んでいきます。

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全国一斉投資被害110番(相談無料)を実施します

  宮城・仙台は次の日時・番号です。
  仙台弁護士会所属の投資被害救済に取り組む弁護士がご相談にあたります。
  宮城県在住の方に限りませんので、遠慮なくお電話下さい。

  3月8日(木)午前10時~午後4時
    9日(金)午前10時~午後4時

  電話 022-223-6270(代表)

  ※ 昨年の全国の状況は、先物取引被害全国研究会のHPに掲載されています。
    http://www.futures-zenkoku.com/110ban/

昨日、判決が出されました。詳細は改めてご報告できればと思いますが、原告団・弁護団・支援する会の声明が出されていますので、取り急ぎ、全文アップさせていただきます。

自衛隊の国民監視差止・賠償請求訴訟判決に対する声明

 

1 本日、仙台地方裁判所は、自衛隊の国民監視差止・賠償請求訴訟につき、原告107名中、5名に対し、慰謝料の支払いを命ずる判決を言い渡しました。

2 2007年6月6日、陸上自衛隊情報保全隊の国民監視文書が公表されました。監視文書には、例えば、国民の地元スーパーでのコンサート、街頭でのアピール行為等の自衛隊イラク派兵反対運動など個人・団体の幅広い行動が、「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」「反自衛隊活動」として自衛隊によって監視され、個人名も含め、詳細に記載されていました。

私たちは、自衛隊によるこのような監視活動は、国民の思想信条の自由・プライバシー権はもとより平和的生存権を侵害する重大な違憲・違法な行為であるとして、人権保障の最後の砦である裁判所へ、司法救済(差止請求・損害賠償)を求め、2007年10月5日から6次にわたり、提訴しました。

3 判決は、「自己情報をコントロールする権利は実体法上の権利とは認められない」との被告の主張を排斥し、「自己の個人情報を正当な目的や必要性によらず収集あるいは保有されないという意味での自己の個人情報をコントロールする権利は、法的に保護に値する利益、すなわち人格権」として確立されていると宣言しました。その上で、自衛隊情報保全隊が、原告らがした活動等の状況等に加え、氏名、職業、所属政党等の思想信条に直結する個人情報を収集して保有したことを認定し、人格権侵害に基づく慰謝料の支払いを命じました。

4 この判決は、自衛隊が文書の存在すら認否しなかったにもかかわらず、「真の原本が存在し、かつ、これらが情報保全隊によって作成されたこと」を真正面から認めたものです。また、上記のように、自己の個人情報をコントロールする権利を人格権に位置づけて、自衛隊の情報保全隊の情報収集・保有行為を違法と判断した画期的判決です。

5 他方で、「個人情報を収集して保有したと認めるには足りず」として、他の原告の慰謝料請求は退けています。しかし、自衛隊情報保全隊から監視されること自体が大きな人権侵害であり、これを違憲・違法と宣言すべきでした。

また、判決は自衛隊情報保全隊の監視行為の差し止め請求については、特定性を欠くとして不当にも却下しました。監視による情報収集・保有行為が違法であることを認めながら、その差し止め請求を却下したことは一貫性に欠けるものと言わざるを得ません。

6 請求が認められた原告(被災者)の一人は、「震災時の自衛隊の活動に対し、感謝の気持ちで一杯です。しかし、国民を監視するようなまねはしないでほしい」と証言しました。私たちも同じ思いです。

 私たちは、本判決で示された違法行為につき、自衛隊及び国(国会)に対し、なぜ自衛隊が本件監視行為という暴走行為に及んだのか、徹底した原因解明及び防止策を求めます。

2012年3月26日

自衛隊の国民監視差止訴訟原告団

自衛隊の国民監視差止訴訟弁護団

自衛隊の国民監視差止訴訟を支援するみやぎの会

 

生活保護受給者が地震保険を受けた事案につき、厚生労働省によって被災者の義捐金等の収入認定(生活保護打ち切りにつながるもの)には慎重な対応を要するとされているのも関わらず(平成23年5月2日付け社援保発0502第2号厚生労働省社会・援護局保護課長通知など)、塩釜市がこうした対応を行わず、被災者の地震保険金を収入認定し生活保護打ち切り処分を行ったことは、誤った処分であるとして、平成23年3月5日、塩釜市の処分を取り消す裁決が出されました。

内容的には当然の判断と思われますが、塩釜市の不十分・不当な取り扱いは多数報告されていますので、被災者救済に大きな参考となる裁決と思われます。

なお、打ち切り処分の不当性・違法性は、不利益処分の理由開示を義務づける行政手続法第14条の観点からも、是正を求めることが考えられます。

※ 行政手続法14条(不利益処分の理由の提示)

※ 参考判例

 

最判昭和38年5月31日 

必要な程度の記載を欠くものを、法の要件を満たしていないとするもの。

最判昭和49年4月25日

法令の適示のみでは足りず、具体的な事実の特定も必要とするもの。

最判平成23年7月6日

建築士免許取消を、法14条1項本文趣旨に照らし、違法とし取消したもの。