2012年7月アーカイブ

刑事確定訴訟記録法に基づく判決書の閲覧請求について、「プライバシー部分を除く」とする申立ての趣旨を確認することなく、閲覧の範囲を検討しないまま、同法4条2項4号及び5号の閲覧制限事由に該当するとして判決書全部の閲覧を不許可とした保管検察官の処分を誤りとする最高裁の判断が出されました(最高裁HP)。最高裁は「判決書の一般の閲覧に供する必要性の高さ」も指摘しています。

プライバシー保護の重要性はそのとおりですが、検察側の安易な情報の非公開等へ警鐘をなさらす重要な判断と思われます。

最高裁判例(HP)↓

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82411&hanreiKbn=02

 

(保管記録の閲覧)
第四条 保管検察官は、請求があつたときは、保管記録(刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録に限る。次項において同じ。)を閲覧させなければならない。ただし、同条第一項ただし書に規定する事由がある場合は、この限りでない。
2 保管検察官は、保管記録が刑事訴訟法第五十三条第三項に規定する事件のものである場合を除き、次に掲げる場合には、保管記録(第二号の場合にあつては、終局裁判の裁判書を除く。)を閲覧させないものとする。ただし、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があつた場合については、この限りでない。
※ 以下省略。

事案は、大学の教授である原告が、勤務先大学に対し、以前の勤務先において、パワーハラ及びセクハラを行ったとして問題にされたことを告知しなかったことなどを理由に、解職(普通解雇)されたものです。

東京地裁は、解職無効として地位確認・給与支払いを認め、この点も重要ですが、判示のなかで、次のように述べており、実務上も、重要な判断と思われます(労働判例1047号5頁)。

採用を望む応募者が、採用面接に当たり、自己に不利益な事項は、質問を受けた場合でも、積極的に虚偽の事実を答えることにならない範囲で回答し、秘匿しておけないかと考えるのもまた当然であり、採用する側は、その可能性を踏まえて慎重な審査をすべきであるといわざるを得ない。大学専任教員は、公人であって、豊かな人間性や品行方正さも求められ、社会の厳しい批判に耐え得る高度の適格性が求められるとの被告の主張は首肯できるところではあるが、採用の時点で、応募者がこのような人格識見を有するかどうかを審査するのは、採用する側である。それが大学教授の採用であっても、本件のように、告知すれば採用されないことなどが予測される事項について,告知を求められたり、質問されたりしなくとも、雇用契約締結過程における信義則上の義務として、自発的に告知する法的義務があるとまでみることはできない。」

 

よりご利用いただきやすいHPをめざし、リニューアル中です。宜しければご参照下さい。

仙台弁護士会HP  http://senben.org/

 

いわゆるホームレス状態にあった男性につき、行政(新宿区)の生活保護を認めない判断を取り消し、生活保護を認めたものです(第1審・東京地裁平成23年11月8日判決を維持したものです)。

事案の概要、判決への評価等につき、日弁連から会長声明が出されています↓。

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120719_3.html

生活保護は、不正受給等の問題が取り上げられがちですが、生存権確保の最後の砦・社会のセーフティネットとして、本来の法・制度の趣旨に従って、適用されるべき事案に1つの漏れもなくきちんと適用されているかが大きな問題です。

 

本件は、被告設置の高校の柔道部に所属していた高校生が練習試合中の事故により四肢不全麻痺、高次脳機能障害等の後遺障害を負ったことについて、高校生側が、顧問教諭ら及び学校長に安全配慮義務を怠った過失があるなどとし、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案です。

判決は、被害者高校生の柔道経験(能力)がさほど高いとはいえないこと、直前にも怪我をしていること等の具体的事実から、被害者高校生を練習試合に出場させた場合、大きな怪我を受ける危険性を予見しえたものとして、北海道に賠償を命じたものです(総額約1億3000万円)(判時2148号101頁)。

本件は部活動における事案ですが、武道が必修化されるなか、今一度、学校における教育と危険を考えることを示唆する事案であるとも思われます。

 

消費者被害の予防・救済のため、各地で適格消費者団体が設立されています。個人からの依頼がなくても、広く、違法勧誘・不適正契約条項等の是正を図り、また、差し止め訴訟を行うなど、熱心な活動を続けています。

現在、10団体となっており、ご参考までにHPアドレス一覧を作成しました。

【各ホームページ一覧(認定日順)】

1 消費者機構日本(東京都) http://www.coj.gr.jp/

2 消費者支援機構関西(大阪府) http://www.kc-s.or.jp/

3 全国消費生活相談員協会(東京都) http://www.zenso.or.jp/

4 京都消費者契約ネットワーク(京都府) http://kccn.jp/

5 消費者ネット広島(広島県) http://www.shohinet-h.or.jp/

6 ひょうご消費者ネット(兵庫県) http://hyogo-c-net.com/

7 埼玉消費者被害をなくす会(埼玉県) http://saitama-higainakusukai.or.jp/

8 消費者支援ネット北海道(北海道) http://www.e-hocnet.info/

9 あいち消費者被害防止ネットワーク(愛知県) http://www.a-c-net.com/

10 大分県消費者問題ネットワーク(大分県) http://oita-shohisyanet.jp/

 

【消費者庁HPによる団体の構成等の一覧】

http://www.caa.go.jp/planning/zenkoku.html

学校法人の塾長(校長)が解職(解雇)されたことから、塾長(校長)が解雇無効・地位確認等を求めた事案につき、仙台高裁秋田支部は、本件解職処分は労働契約法17条1項による無効である旨判示しました(労働判例1046号22頁)。

労働契約法17条(↓)の適用事例として参考になると思われます。判決は確定しています。

労働契約法17条

1 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

2 使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

家賃5万6000円のマンション賃貸借につき、賃借人が勤務先を解雇等されてしまったため、家賃支払いが滞ったところ、賃貸管理業者から、退去を強制され、家財等を廃棄処分されてしまったケースにつき、東京地裁は、賃貸管理業者に対し、財産的損害約70万円、慰謝料200万円の賠償を命じました(判時2148号79頁)。賃貸人・賃貸管理業者は、賃料不払いという契約違反があったとしても、どのような行為を行ってもよいわけではありません。しかし、現実には、自力執行というかたちで賃借人の正当な権利までもが侵害されるケースも少なくないなか、本判決は、賃貸人・賃貸管理業者のいわゆる「やり得」を許さず、法のルールに従った解決を求めるものと解され、意義ある判断で、賃貸借の実務上もとても参考になります。

 

「公契約条例(と視点・趣旨)」は、近時、広まってきている考え方(概念)です。自治体・労働関係にかかわる方には必須の考え方(概念)ですし、社会的にも重要な考え方(概念)となっています。

宜しければ、是非、ご参加下さい。

仙台弁護士会・ご案内のページ(HP)  http://senben.org/archives/3535

 

「盗難通帳、盗難・偽造キャッシュカード、インターネット・バンキングによる預金等の不正払戻し件数・金額等に関するアンケート結果、口座不正利用に関するアンケート結果について」が公表されています。資料は複数になっていますが、いまなお不正利用の事案(被害)が多いことが分かります。被害救済にあたっての参考資料になると思われます。

公表資料↓

http://www.zenginkyo.or.jp/news/2012/06/28130000.html

 

いわゆる日本ヒューレット・パッカード事件の最高裁判決です。使用者側に一定の対応を求めるものであり、実務上参考になる判例です。最高裁HPにアップされています。まずは速報的ですが、ご報告致します。

最高裁HP↓

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82225&hanreiKbn=02

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