2012年8月アーカイブ

いわゆる霊感商法被害の事例です。信教の自由との慎重な判断が求められる一方、信教・宗教に名をかりた悪質被害もあとをたちません。違法性判断基準として参考になると思われ、当該部分を、引用・アップいたします(判例時報2153号54頁)。

 

一般に、宗教団体が、当該宗教団体の宗教的教義の実践として、信者等に対して、儀式等を受けるように勧誘したり、任意に寄附や献金をするよう求めること自体は、信教の自由の一様態としての宗教活動の自由として保障されなければならないものであって、これを殊更に制限したり、違法と評価することは厳に慎まなければならない。

 また、金員の出捐を伴う儀式等を受けることを勧誘するに際して、特定の宗教を信じる者が、当該宗教団体における教義等に基づく、科学的に証明し得ない様な事象、存在、因果関係等を理由とするような吉凶禍福を説き、儀式等を受けることによって、そうした吉凶禍福を一定程度有利に解決することができるなどと信者等に説明することについても、その説明内容がおよそ科学的に証明できないことなどを理由として、直ちに虚偽と断じ、あるいは違法と評価することもすべきではないし、予め信者等の境遇や悩み等を把握した上で、そうした悩み等を解決する手段として、金員の出捐を含む宗教的教義の具体的実践を勧誘することも、直ちに違法と評価されるものではない。
 しかしながら、上記のような行為が、信者等をいたずらに不安に陥れたり、畏怖させたりした上で、そのような心理状態につけ込んで行われ、社会一般的に信者等の自由な意思に基づくものとはいえないような態様で行われたものである場合や、信者等の社会的地位や資産状況等に照らして不相当な多額の金員を支出させるなど、社会的に考えて一般的に相当と認められる範囲を著しく逸脱するものである場合などには、そのような行為は、反社会的なものと評価され、公序良俗に反するものとして、違法なものになるといわざるを得ない。そして、そのような行為の違法性の有無は、常に一つ一つの行為ごとに判断されるべきものとはいえず、信者に対する一連の行為を全体として見た場合に、社会的に相当と認められる範囲を逸脱するといえる場合には、その全体をもって違法な行為ということもできるというべきである。」

1 労働契約法の改正

 8月10日交付されています。雇止法理の法文化は即日施行、その他は1年内の施行とのことです。従前の労働基準法すら守られていない現実もあり、実効性確保の方策こそが検討・強化されるべき課題です。

厚生労働省の全体的なページ↓ 

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/

通達~改正の全体像が示されています↓

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/h240810-02.pdf

通達別添~参考裁判例が示されています↓

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/saibanrei.pdf

2 労働者派遣法の改正

 10月1日から施行とのことです。不十分な内容であるばかりか、「派遣」という働き方を固定化する危険性を有しています。「派遣」の導入にあたって「多様な働き方」のキャンペーンがはられましたが、新卒で積極的に「派遣」を希望・選択する学生など殆どいなかったはずです。 法制度のフォローは大切ですが、「安心して働ける」長期雇用システムへの運動も重要です。

厚生労働省の全体的なページ↓ 

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/kaisei/

厚生労働省の改正ポイントを示したページ↓

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/kaisei/01.html

妻が子ども(9歳、5歳)と同居していたところ、夫が子どもを奪取した事案で、妻から子どもの引き渡し審判が申し立てられた事案です。子どもの意向等を踏まえ、夫のもとから強制的に子どもを引き離すことはできないとし強制執行が不能であるとことを認める一方、妻を監護権者と定めて夫に対し子どもの引き渡しを命じたものです(判例時報2152号44頁)。

法的問題点としては、強制執行が不能であれば、子どもの引き渡しを命じる意味はないのではないかという点にありますが、子の福祉の観点等から、上記決定を相当としています。親族関係を扱う家庭裁判所にはこうした紛争に踏み込んで解決案(判断)を示すことが求められていること、法的正義を示すこと、違法行為の放置を避けること等から意味ある判断と思われます。

 

 

8月29日(水)午後6時から、仙台弁護士会館で、シンポジウム「岐路に立つ法曹養成~志望者激減の原因を探る~」が開催されます。法曹人口問題については種々の意見がありますが、司法制度が現代社会において不可欠の構成要素であることは共通の認識と思われ、この分野への志望者が激減している状況は、私たちの社会の存立自体にかかわる大きな問題です。是非、一緒にご検討下さい。

仙台弁護士会HPのご案内はこちらです→http://senben.org/archives/3627

いわゆる「ほっかほっか亭」の事案です。持ち帰り弁当販売事業を展開するマスターフランチャイザー(マスター)がしたフランチャイズ契約の更新拒絶が、債務不履行に当たるとして、サブフランチャイザーが新事業立ち上げのために支出した費用の一部につき損害賠償請求が認められた事例です。請求額が金20億円余に対し、金5億円余の支払いを命じたものです(判例時報2149号74頁)。控訴されているようです。

判決では、「本件契約は、契約期間が満了しても、更新されて継続すると期待する合理的な理由があったというべきであって、このような期待は法的に保護されるべきものであるから、被告は、やむを得ない事由がない限り、更新を拒絶することは許されなかったと認められる」と述べており、他のフランチャイズ契約、継続的契約関係の紛争にも参考となる判断です。

もっとも、現実の事案では、具体的な事実関係こそが争われることも多いです。

 

投資信託被害の報告です。銀行を信頼し元本保証と思い生活資金を預けたケースも多く、深刻な被害となっています。銀行等に対する規制を強化すべき問題ではありますが、まずは社会において被害実態を共有化することも大切です。

国民生活センター 該当ページ↓。

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120726_1.html

全国銀行協会の紛争解決等業務の実施状況について↓。

http://www.zenginkyo.or.jp/adr/conditions/

日本証券業協会の苦情相談処理状況について↓。

http://www.jsda.or.jp/sonaeru/kujyou/kujyou.html

生活保護制度は、いわゆるセーフティネットの重要な制度です。近時、マスコミ等でも話題となり、制度への理解・議論が深まることは意味ある一方、誤解・心ない批判もおきています。パンフレットは、60年前との利用率比較では現在下がっていること、諸外国との比較、財政への影響の度合い等、分かりやすく記載されています。是非、一度ご覧下さい。

パンフレットのページ↓。

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf

武富士は現在会社更生という法的整理の状態ですが、いわゆる過払金(相当額)につき経営者に対する支払いを求めた事案につき、支払いを命じる判決が出されました。既にマスコミ等報道されていましたが、今般、裁判所HPに全文が掲載されました↓。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82481&hanreiKbn=04

 

泣き寝入りせず問題の本質を追及し続ける当事者・弁護団の活動のたまものと思われ、今後の被害者救済にも大きな力となるものです。

とくに、「武富士及び被告は、平成19年判決がされた4か月後である19年10月7日の時点以降は、引直計算をして、貸金債権の存否を確認することが十分可能であり,それをすべきであったにもかかわらず、それをせずに、貸金の請求をし、弁済を受けていたから、その時点で貸金債権が存在しない顧客については、通常の貸金業者であれば貸金債権が事実的、法律的根拠を欠くものであることを容易に知り得たにもかかわらず、あえて顧客に対して貸金の返還を請求し、弁済を受領していたと認められる。したがって、被告において,武富士が平成19年10月7日以降に貸金債権が存在しない顧客に対して貸金の返還を請求し弁済を受領した行為は、不法行為を構成すると認められる。」(判決文13から14頁)とする部分は、他社の違法取立・請求の被害救済にも大きな参考になると思われます。

 

非建築士による建築士詐称(一級建築士のなりすまし事案)につき、国土交通省から事案等の報告がなされています。そのなかで「発覚の経緯」として、「建築行政共用データベースシステム」の利用により発覚した旨報告されています。建築士の資格関係等の確認システムが十分でないと指摘され続けてきましたが、こうしたシステムは存在・利用されているようであり、ご参考までにアップします。

国土交通省の当該ページ↓

http://www.mlit.go.jp/common/000219448.pdf

建築行政共用データベースシステムのHP↓

http://www.icba.or.jp/DBkyougikai/

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