2012年12月アーカイブ

いすの脚部分に溶接不具合という欠陥が存し、これによって転倒し被害が生じた事案につき、福岡高裁は、被害者が本件事故を受け、「身動きがとれないために日常生活に不便が生じ、家族の面倒がみられないばかりか、逆に家族らに迷惑をかけているという負い目ないし悲しみ、健康が回復しないことに対する不安や焦り、経済的負担に対する不安、賠償交渉の不調に対する憤りに加えて、本件事故の精神的衝撃等が複合的に原因となって」うつ病が発症したものと認められると判示しました(後遺障害等級7級、6割の素因減額)(判例時報2164号61頁)。

交通事故被害救済は、相当程度定型化されており、こうした定型化が被害救済に資する面もなくはないですが、他方、「事故前に、どんなにお金をつまれても事故被害を引き受けることはない」という被害者の当然の心情に配慮した加害者側(保険会社)の対応がなされているとは言い難い現実があります。

そうした被害者の窮状を救うための裁判例として、参考例になると思われます。

 

事案は、抗告審で付添人に選任されていない弁護士から再抗告の申立てがなされたが、そのときには付添人選任届(委任状のようなもの)が出されておらず、再抗告申立期間経過後に付添人選任届出が出されたものです。最高裁は、その再抗告は不適法であるとして、抗告を却下しました(判例時報2163号145頁)。

実務上、不足書類・委任状等の追完(事後の提出)は時々みられますが、上訴や不服申立てという別審級(例えば、1審と2審)への移行の場合には、不服申立・期間が厳密であることから、追完も認められないものと理解されます。

弁護士実務上の問題ではありますが、注意を要するものです。

最高裁HPに決定文がのっています↓。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120724133937.pdf

 

 

売買目的物の土地に、従前の建物の基礎、杭等の埋設物が存在していることが判明した事案につき、買主の国側(国立病院機構)が、売主の下関市に対し、売買契約上の瑕疵担保責任・債務不履行責任に基づく損害賠償請求が認められた事案です(判例地方自治360号75頁)。

実質上、行政どおしの争いであること、高額な賠償事例であること等からいくつかのところで取り上げられていますが、国民・住民の立場からは、いずれにせよ公金の支出であること、行政のミスにより高額な賠償義務が生じていること、それゆえ国民・住民に訴訟経過等もきちんと報告・開示されるべきであること等の観点からも、行政間の訴訟等は、留意が必要です。

現在、栃木県・宇都宮市間でも億単位の問題の訴訟が係属されているようですが、国民・住民への報告・情報開示は必ずしも十分なものとはいえないようです。

最高裁は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条2項所定の継続雇用制度の対象となる高年齢者につき、同基準に基づく再雇用制度が導入されていた労使間において、再雇用の存否等が問題となった事案につき、「法は,定年の引上げ,継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進等の措置を総合的に講じ,もって高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図ること等を目的とする(法1条)ものであるところ,法附則4条1項により
平成22年4月1日から同25年3月31日までの期間において読み替えて適用される法9条1項は,64歳未満の定年の定めをしている事業主は,その雇用する高年齢者の64歳までの安定した雇用を確保するため,当該定年の引上げ,継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは,当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度)の導入又は当該定年の定めの廃止のいずれかをしなければならない旨を定め,同条2項は,事業主が,当該事業所に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合において,労働者の過半数を代表する者との書面による協定により,継続雇用基準を定めて当該基準に基づく制度を導入したときは,継続雇
用制度の導入をしたものとみなす旨を定めている。」と述べ、係る法の趣旨から、雇用継続を認めました。

高齢者等の雇用安定法の趣旨を明らかにし、雇用継続を図るもので、実務上も参考になる判示と思われます。

判決文・裁判所HP↓

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82762&hanreiKbn=02