2013年8月アーカイブ

名古屋高判平成25年3月15日(判例時報2189号129頁)は、従業員が違法勧誘を繰り返していた商品先物取引業者の、直接勧誘を行っていない取締役らにつき、「控訴人会社の従業員が適合性原則違反などの違法行為をして委託者に損害を与える可能性があることを十分に認識しながら、法令遵守のための従業員教育、懲戒制度の活用等の適切な措置を執ることなく、また、従業員による違法行為を抑止し、再発を防止するための実効的な方策や、会社法及び同法施行規則所定の内部統制システムを適切に整備、運営することを怠り、業務の執行又はその管理を重過失により懈怠したものというべきである。」として、会社法429条1項(役員等の第三者に対する損害賠償責任)に基づき、損害賠償を命じました(過失相殺3割)。

一審判決(名古屋地判平成24年4月11日・判例時報2154号124頁)も、取締役の内部統制システム整備・運営義務違反を認めていましたが、高裁段階でも認められたことで、さらに重要な意味を有するものと思われます(なお、上告等あり)。

 

神戸労働基準監督基準署長の労災不支給決定を取り消した一審神戸地裁平成24年3月22日判決に対し、国側が控訴したことに対し、大阪高裁も、国側の控訴を棄却しました(判例時報2188号143頁)。

大阪高裁は、国側が非難する「平成18年認定基準の定める要件」は相当であるとし、国側が主張する「平成19年認定基準」につき、国側はその医学的知見について何ら主張・立証していないという国側の無責任な訴訟態度も指摘しています。

いずれにせよ高裁レベルの判断で確定しているとのことで、重要な意味を有するものと思われます。

 

建物の区分所有等に関する法律は、3条前段で「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」、30条1項は「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」と規定しています。

この点、水道料につき、現実には、管理組合が、水道局との間で一個の給水契約を締結し、水道局から請求されたマンション全体の水道料金を支払っているところも少なくないようですが(いわゆる一括検針一括徴収制度)、名古屋高裁平成25年2月22日判決(判例時報2188号62頁)は、上記各法の趣旨・目的に照らせば、「専有部分である各戸の水道料金は、専ら専有部分において消費した水道の料金であり、共有者前提に影響を及ぼすものともいえないのが通常であるから、特段の事情のない限り、上記の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項には該当しない」として、額・支払方法等を定めた管理組合規約の個人(構成員)に対する効力を否定しました。

いわゆる一括検針一括徴収制度との関係で実務上も留意が必要であり、また、立法者解釈に拘泥されない判断でもあり、参考になると思われます。

 

少し古いのもありますが、消費者関係では以下のものがHPで公開されています。

・ かきくけこで悪質商法を支えるクレジットはシャットアウト

・ クレジット問題Q&A~消費者のための割賦販売法改正を目指して~

・ 多重債務問題の解決へーサラ金・クレジット・商工ローン被害の克服をー

・ 統一消費者信用法の制定に向けて

・ 改正貸金業法の完全施行に向けて

・ Q&A消費者教育推進法と消費者市民社会

なお、以下のアドレスは他分野のパンフレットも含む一覧で、ページ内の少し下がったところの「人権問題に関するパンフレット」の「消費者問題」のところに一式掲載されています。

※ 日弁連パンフレット等一覧

http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/publication/pamphlet.html#pam_04

 

山口地裁平成25年3月13日判決(労働判例1070号6頁・松田防府工場事件)は、いわゆるクーリング期間中は、派遣労働者をサポート社員として有期・直接雇用し、その後に再び派遣労働者として継続的に受け入れた後、再び派遣労働者として継続的に受け入れていた事案につき、結論として、派遣労働者と派遣元との間に、黙示の労働契約を認める重要な判断を示しました。詳細は判決文にあたっていただきたいのですが、最高裁平成21年12月18日判決(労働判例993号5頁、パナソニックプラズマディスプレイ事件)の判断にしたがったうえ、①クーリング期間経過後の派遣労働者の受け入れは本件においては派遣法40条の2等に鑑みても違法とされること、②派遣労働者と派遣元労働者との派遣労働契約も、本件では派遣法40条の2の潜脱が「組織的かつ大々的」であったとして上記最高裁判決にいう特段の事情あり、無効となること、③派遣労働者との派遣元との間では指揮命令、賃金の実質的決定権等から黙示の労働契約が成立すること、等の判断を示しています。

大きな課題・問題ある労働者派遣法の枠組みの中で、法の趣旨(常用代替の禁止等)、労働実態等から、実態に基づき労働者救済のを図る理論構成を示すもので、実務上、重要な意義を有するものと思われます(控訴あり)。

 

最判平成25年6月6日は、 労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日と労働基準法39条1項及び2項における年次有給休暇権の成立要件としての全労働日に係る出勤率の算定の方法につき、無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は、労働基準法39条1項及び2項における年次有給休暇権の成立要件としての全労働日に係る出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるとしました。
通達(昭33・2・13基発90号、昭63・3・12基発150号)は、「含まれない」として労働者に不利益な理解をとってきましたが、最高裁は通達の理解は誤りであるとして労働者側の解釈を正当としたものです。50年にわたる不当通達を変更させた判断で、その意義は大きく、裁判に取り組まれてきた当事者・弁護団の方々の尽力のたまものと思われます。