2013年10月アーカイブ

本事案は、担保不動産競売事件において、土地の売却許可決定を受けて買受人となったAが、本件土地隣接地に暴力団幹部が居住していること、土地の利用形態等から暴力団幹部との折衝が必要とされること等から、民事執行法75条1項に基づき、売却許可決定の取消しを求めた事案です。同条項は、後記のとおりです。原審(東京地決H25・4・30)と判断が分かれてることや75条の解釈・適用場面を示すものとして参考になると思われます(金融商事判例№1426・34頁)。
 
第七十五条  最高価買受申出人又は買受人は、買受けの申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、執行裁判所に対し、売却許可決定前にあつては売却の不許可の申出をし、売却許可決定後にあつては代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができる。ただし、不動産の損傷が軽微であるときは、この限りでない。
 前項の規定による売却許可決定の取消しの申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
 前項に規定する申立てにより売却許可決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。

死刑確定者との面会については、刑事収容施設法121条に、職員に立ち会わせることを原則とするが、立ち会わせないことが相当と認めるときはこの限りではないとの規定があります。広島地判平成25年1月30日は「刑事施設長のこの裁量権も無制限なものではなく、刑事施設長の判断が合理的な根拠を欠き、著しく妥当性を欠く場合には、裁量権の逸脱又は濫用があるものとして違法になるというべきである。」(判例時報2194号80頁)として、本件で裁量違反を認めたものです。死刑囚の再審という多くない場面での判断ではありますが、刑事被告人の権利は憲法上の人権であること等を改めて考えるべき事案としても、参考になると思われます。

 

少し前の裁判例ですが、解雇無効にともなう権利回復や労働者の基本的権利保護の点から、とても参考になると思われます。
①は別冊タイムズ№32・388頁、②は労働判例937号6頁に解説が掲載されています。


①、②とも制度的には労働者本人による代替的手段がなくはないですが、労働者が実際にその手段をとり得る可能性等も考慮し、使用者の義務違反を認めています。
詳細は上記解説にあたっていただければと思いますが、とくに②が網羅的・詳しく書かれています。

本件はじん肺被害につき企業の責任を認める判決ですが、そのなかにおいて、労働者が低額補償とともにその他の請求をしない旨の念書を提出していた点について、
低額な補償金額は死亡までも含んだものではないこと、使用者側の安全配慮義務違反、被害と補償の不均衡、作成経緯等から、
そのような念書は死亡慰謝料まで放棄したとは解されず、或いは公序良俗で無効としたものです(横浜地裁横須賀支部平成25年2月18日・判例時報2192号73頁)。

労働被害に限らず社会的に弱い立場にある当事者につき、形式的には請求権放棄の念書・合意書が存する事案も少なくありませんが、こうした場合であっても、
実体面からの被害救済の途を確保するもので、実務上も大いに参考なると思われます。

通行地役権を第三者に主張するためには原則として登記が必要とされていますが、最高裁は、①継続的に通路として使用されていることが客観的に
明らかであり、かつ、②譲受人がそのことを認識していたか認識することが可能であった場合には、登記なくして土地譲受人に対して権利主張できるとしています
(最高裁平成10年2月13日・判例時報1633号74頁)。

本判決(最高裁平成25年2月26日・判例時報2192号27頁)は、抵当権設定・競売の場面において、最優先の抵当権の設定時に、上記①②の状況にあった場合には、
抵当権実行後の取得者に対しても、登記なくして通行地役権の存在を主張できるとしたものです。

本判決は、上記平成10年判決を基礎としたものですが、抵当権設定・競売の場面においても上記①・②の基準が妥当すること、
原審が「競売における売却時」を基準に上記①②を判断する旨示したことを破棄しその基準時を明らかにしたことにおいて、実務上意味を有するものです。