2014年9月アーカイブ

鹿児島地裁平成26年3月12日判決(判例時報2227号77頁)は、「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の上記注意義務の内容に従ってその権限を行使すべきものである(最高裁平成10年(オ)第217号、第218号同12年3月24日第二小法廷判決・民集54巻3号1155頁参照)。この理は、地方公共団体とその設置する中学校に勤務する地方公務員との間においても同様に当てはまるものであって、地方公共団体が設置する中学校の校長は、自己が指揮監督する教員が、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当である。」と述べた上、「前記第3・3において判示したとおり、平成17年以降の校長、教頭、県教育委員会、指導官及び本件担当指導官らの上記一連の各行為が亡Aに対して心理的な負荷の大きい影響を与えており、これが、亡Aの精神疾患を増悪させる危険性の高い行為であったと認めることができるから、亡Aはかかる行為の影響により、正常な判断ができない状態で自殺したものとみるのが相当であり、そうであるとすると、校長、被告県教育委員会、指導官及び本件担当指導官らの上記一連の各行為と亡Aの精神疾患の増悪及び自殺との間に相当因果関係があるとみるのが相当である。」とし、素因減額3割、過失相殺2割のうえ、加害者側に賠償を命じました。

 記判断、その基礎となる事実認定とともに同種被害の救済に参考となるものと思われます。(確定しています。)

今週の日曜日9月28日午後1時30分から、カジノ法案を考えるシンポジウムを開催します。
世界各国のギャンブル依存症の割合は1~2パーセントのなか、日本は約5パーセント(男性約9%、女性約2%)、
536万人ものギャンブル依存症と疑われる人がいると言われます。
・ 帰りの電車代200円までもパチンコに投入し数時間歩いて帰る者
・ 自分の子どもが喜々としてパチンコ・ギャンブル場に通うことを望むのか
・ 外国人だけならギャンブルの資金獲得も受け入れるのか
等々、ギャンブル依存の実態や海外のギャンブル場の実態調査報告等により、
事実に基づき、カジノ問題が検討される予定です。

詳しいご案内は下記のとおりです。お忙しい時期とは思いますが、是非、ご参加ください。

                   記
仙台弁護士会HPでのご案内 ttp://senben.org/archives/5560
※ 以下、同ページ貼り付けです

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)が先の通常国会において提出されましたが、継続審議となり、秋の臨時国会でも審議される予定です。

政府の成長戦略にカジノが挙げられていたこことなどからすると,秋の臨時国会では,この法案が成立するおそれがあります。
しかし,そもそもカジノは賭博場そのものであり、賭博行為は犯罪を誘発し、国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあるなどとして禁止されてきました。さらに、カジノには、ギャンブル依存症を増加させるという問題があります。
このような様々な問題を抱えるカジノに、被災から立ち直ろうとする日本の復興を委ねて良いのか、共に考える機会を開きたいと思います。ぜひご参加下さい。

●日  時:9月28日(日)13:30~16:30(終了予定)
●場  所:仙台弁護士会館 4階大会議室(仙台市青葉区一番町2丁目9-18)地図
●内  容:◆基調報告
      カジノと『カジノ解禁推進法案』の問題点
      報告者:畠山裕太氏(弁護士)
      ◆講演
      カジノをめぐる全国自治体の動きと、ギャンブル依存症に対するその認識
      講師:古川美穂氏(ジャーナリスト)
      ◆パネルディスカッション
      パネリスト:
       古川美穂氏(ジャーナリスト)
       新里宏二氏
       (弁護士・全国カジノ賭博場設置反対連絡協議会代表幹事)
      コーディネーター:太田伸二氏(弁護士)
●対  象:どなたでも
●参 加 費:無料(事前申込み不要)
●主  催:仙台弁護士会
●連 絡 先:仙台市青葉区一番町2丁目9-18
      TEL:022-223-1001(代表)

売主は時85歳でMRI画像上顕著な大脳萎縮等が確認されていたなか、所有する東京都目黒区の土地建物を600万円で売却した事案です。東京地裁平成26年2月25日は、売主が「自己の行為の結果を正しく理解し合理的な判断をする能力が著しく障害されていた」として、売買契約を無効としました。

 

意思能力・行為能力や無効・取消等の概念の理解は難しい面もありますが、意思能力が欠けるとして契約を「無効」とする判断として、高齢者救済の観点からも参考になると思われます。

 

また、本件では買主側が、不動産の売買・賃貸管理及びその仲介等を営む会社であることも大きな問題であり、判決においても「不動産取引の専門家として十分な注意を尽くしたとは言い難い」と述べられています。

 

なお、控訴されています。

函館地裁平成26年6月5日判決(判例時報2227号104頁)は、医師側の誤報告とダウン症児の死亡には法的因果関係は認められないとしながら、親の家族設計選択の機会が奪われたこと等から、医師側に金500万円の慰謝料支払いを命じたものです。

倫理上の考え方もあるところでありますが、慰謝料支払いを命じた点など、実務的にも参考となるものと思われます。(確定しています。)

東京地裁平成26年2月28日決定(労働判例1094号62頁)は、支部組合の活動を中心的に行っていた労働者に対する、会社の他の営業所への配転命令につき、「(会社は)少なくともJMIU東京測器支部の存続の可能性を失わせる結果になることを認識しつつこれを認容する意思があった」などと判示し、配転命令を支配介入(労働組合法7条3号)に該当し無効としました。

 決定は、その判示内容はもとより、仮処分手続(通常の裁判では時間がかかるので、通常の裁判に先だって裁判所の判断を得るもの)での救済例として、組合活動に対する妨害行為への対抗・救済手段として大いに参考になると思われます。

1審・東京地裁平成25年10月25日判決は、当該規定は必ずしも金額が明確ではないこと等から裁判所が認定する金額(通常は、実際の支出額より少ない額となります)としていましたが、東京高裁平成26年4月16日判決(判例時報2226号26頁)は、同規定は有効として、管理組合が実際に支出した金額の請求を認めたものです。

マンション管理の実務において参考になる事案と思われます(なお、上告受理申立てがなされています)。

大阪地裁平成25年4月19日判決(判例時報2226号3頁)は、結論として、当該申請者に対する自動車保有要件充足を認めたもので、生活保護の場面では自動車保有が問題とされることから、実務上参考となるものと思われます(確定しています)。

もっとも、自動車保有にあたっては、①「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」という厚生省課長通知による原則保有不可の基準・運用の違憲性・違法性の問題と、②個々の場面における同通知の基準への該当性が問題とされますが、本件では①については違憲・違法とまでするものではありません。現在における自動車の普及状況からすると、今後、①も厳しく検討されるべきと思われます。

東京地裁平成25年5月20日判決は、高齢者が不意に動き出して車外に出ようとしたこと等から、施設側に係る行動の予見は困難として、施設側の安全配慮義務違反(転倒防止義務違反)は否定しましたが、施設側は事後は速やかに医師の診察等を受けさせるべきであったとして、この義務に違反したものとして損害賠償(慰謝料20万円)を認めました(確定)。

高齢者等の介護契約をめぐるトラブルが多くなっているなか、施設側のとるべき対応等を示唆するものとして参考になると思われます。

神戸地裁平成25年12月13日判決(判例時報2224号31頁)は、税務署側の金融商品取引法21条の2(虚偽記載のある書類の提出者の賠償責任)に基づく損害賠償金への所得税としての課税処分につき、「本件損害賠償金は、虚偽記載という違法行為がなかったならば得られたであろう収益を補てんするものではなく、虚偽記載の公表によって失われたA株式の価値、すなわち資産に加えられた損失を回復させるものであるから、「収入金額に代わる性質を有するもの」(令94条1項柱書き)とはいえない。」として課税処分を取り消しました(確定)。

金融商品取引をめぐる課税処分には問題が多いところですが、税務署の判断が否定された実務上の判断として参考になると思われます。

FX取引の裁判例は、通常、業者の勧誘行為やシステム上の問題に関するものが多いなか、キャッシュバックの合意等が問題とされためずらしい事案です。

ご担当された弁護士(事務所)は投資被害救済関係などで先進的な判決を多数獲得され、また、その解説もなされており、本件もHPにおいて掲載されています。

http://aoi-law.com/article/s_fx_02/

本人の保佐人が提起した事案です。銀行は、代理人と称するものから、本人が脳梗塞のため字が書けないから病院にきてほしいと言われ、病院には言ったものの、医師等の面談・確認はおこなわず、代理人の面前で頷く本人の様子から、預金の殆どを代理人と称するものに払い出し・交付してしまった事案です。神戸地裁尼崎支判平成26年5月21日(金融・商事判例1446号44頁)は、医師等への確認を行っていないこと、預金の殆どであること、代理人と本人との間に血縁関係がないこと等から、銀行側の本人意思確認は不十分であるとして、不法行為上の義務違反を認めたものです(なお、控訴されています)。

銀行の無権限者らへの払い出しは有効・免責とされがちですが(最高裁平成46年6月10日・民集25巻4号492頁等)、成年後見制度、本人確認の重要性等の制度・認識が広まっている現代においては、金融機関側の取るべき措置・対応(注意義務内容)も相当程度高度化すべきものと思われます。

専決処分とは、本来議会が決すべき事項(地方自治法96条)につき、議会が成立しない場合などに自治体の長に専決処分を行うことを認めているものです(地方自治法179条)。

本件は、A市長が専決処分として、特定の鉄道会社への補助金2300万円余を支出した行為が違法とされ、現在の市長からA市長に対し同金額の賠償請求を行うことを命じたものです(東京高裁平成25年8月29日判決・判例地方自治384号10頁)。いわゆる住民訴訟として一般の判決主文とは若干異なる言い回しですが、議会制民主主義の観点等から、専決処分をなしうるケースを限定するもので、近時、専決処分に関する裁判例が多数出されていることからも(裁判例の動向については、判例地方自治384号4頁以下「専決処分をめぐり相次ぐ判決、自治体に戸惑いも?-専決処分が違法とされた事例と適法とされた事例―」にまとめられています。

破産債権者表(いわゆる債権者一覧表)に記載された債権は、破産手続終了後、確定判決と同様の効力が認められるという規定(破産法221条)を前提に、強制執行実施のために民事執行法33条1項の適用・準用により執行文付与を求められるかが問題となった事案につき、結論として、認められないとしたものです(最高裁平成26年4月24日判決・最高裁HP)。

免責許可決定の意味・効果との関係では、穏当な結論と思われますが、その理論的根拠等、一度は確認・検討する意味もあろうかと思い、参考までにアップします。


裁判所HP

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84146