2016年7月アーカイブ

東京地裁平成27年9月18日(判例時報2294号65頁)は、当該法律事務所が3年間で月額売上総利益が約7068万円から約3075万円と急減していること、約20億円の赤字があることなどから人員削減の必要性は肯定しながら、労働者の属性(元裁判所書記官としての知識・経験等)を考慮し解雇回避努力義務が十分であったとは認められないこと、選定理由の合理性に疑問があること、説明が不十分であること等から、法律事務所の解雇は、解雇権を濫用したものとして無効としました(控訴あり)。

法律事務所の整理解雇というめずらしい事案であるとともに、労働者の属性を考慮し、個別具体的な対応を求めるものとして、労働者保護の観点からも参考になると思われます。

宮城県知事は、平成28年7月6日、原処分が「(自立更生費の認定についての相談に対し)、その際処分庁の職員は、費用返還義務の免除はできない旨を回答し、それ以降も調査及び検討を行うことなく本件処分を決定」したこと、「当該補償年金の受給にあたっての経緯を一切考慮せず判断しことは、妥当とは言い難い」ことなどから、労災保険560万円超に対する法63条に基づく費用返還処分を違法とし取り消す裁決を行いました。

審査請求申立てから裁決まで約8か月を要しましたが、結論として妥当な判断であり、生活保護実務上も参考になると思われます。また、生活保護法63条の返還要件の理解の参考として以下もご参考下さい。

 

(参考)

法63条の適用にあたって、厚生労働省は「費用返還額については、原則として当該資力を限度として支給した保護金員の全額を返還額とすべきであるが、こうした取扱いを行うことが当該世帯の自立を著しく阻害すると認められるような場合については、実施要領等に定める範囲においてそれぞれの額を本来の要返還額から控除して返還額と決定する取扱いとしてさしつかえないことしているので、ケースの実態を的確に把握し、場合によってはケース診断会議を活用した上で、必要な措置を講じる」(「生活保護行政を適正に運営するための手引きについて」平成18年3月30日社援保発第0330001号厚生労働省社会・援護局保護課長通知)とし、また、「当該収入があったことを契機に世帯が保護から脱却する場合であっては、今後の生活設計等から判断して当該世帯の自立更生のために真に必要と保護の実施機関が認めた額。この場合、当該世帯に対してその趣旨を十分説明するとともに、短期間で再度保護を要することとならないよう必要な生活指導を徹底すること。」(平成24年7月23日社援保発0723第1号厚生労働省社会・援護局保護課長通知)とし、丁寧かつ詳細な聞き取り調査等を行った上で、自立助長の観点から返還額を決定するよう指示されている(便宜上、以下「実体要件」という。)。上記各通知は、当然、被保護者からの要望等を聞き取り、また、世帯全員を含む被保護者の生活実態を充分に調査・把握し、自立更生に必要な控除の検討を充分に行うことを前提かつ条件とするものであり、「返還額の決定は、担当職員の判断で安易に行うことなく、法第80条による返還免除決定の場合と同様に、そのような決定を適当とする事情を具体的かつ明確にした上で実施機関の意思決定として行うこと。」(問答集問13-5)とされ、これが存しない場合に全額返還を命じた原決定の取消しが報告されているとおりである(石川県知事裁決平成11年7月12日、兵庫県知事裁決平成18年3月1日。また、審査請求段階で福祉事務所が返還決定を自ら取り消した京都府知事裁決平成13年3月12日等。便宜上、以下「手続要件」という。)。

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