2016年9月アーカイブ

大阪高裁平成27年12月11日判決(判例時報2300号)は、会社が団体交渉決裂後、当該労働組合の組合員(従業員)を会社から排除することを目的として行った会社分割とその後の事業閉鎖行為について、司法書士が会社分割等に専門的知識を有すること、会社と従業員との関係を認識していたこと、会社の真の目的を全く知らないまま関与したと考えることは不合理であること等から、会社側と司法書士の共謀を認定し、損害賠償を命じたものです(従業員1名あたり200万円前後の金額。上告・上告受理申立有)。

 

違法行為への専門家関与の場合の法的責任や共謀の事実認定など実務上も参考になると思われます。

売買契約後に、売主が、買主は売買契約対象土地を超え占有使用しているとして、土地所有権に基づき建物収去土地明渡しを求めた事案(対象地について売主は地番、買主は現地指示等を主張していた事案)について、松山地裁平成27年12月7日判決(判例時報2298号76頁)は、売買前の使用状況、測量・境界線画定の経緯等を考慮し、売買契約書記載の地番ではなく現地の指示等に基づき対象が特定されると判示しました(控訴あり)。

売買対象地の特定方法として「特別の事情」により売買契約書記載の地番以外の範囲を認定した事案として実務上も参考になると思われます。

 別件訴訟において陳述書の一部が違法であると認定されたことを前提とする訴訟のようです。東京地裁平成27年10月30日判決(判時2298号58頁)は、結果的に陳述書の内容が裁判所の認定事実に反しとしても、「陳述書の作成が相手方当事者との関係で違法と評価されるためには、その記載内容が客観的な裏付けを欠く(客観的裏付けあることを立証できない場合を含む。)というだけでは足りず、少なくとも、陳述書に記載された事実が虚偽であること、あるいは、判断等の根拠とされた資料に看過できない誤りがあり、作成者がその誤りを知り又は当然に知り得たことを要するものとする。」と判示しました(控訴あり)。

 現在の民事訴訟の構造からすると、陳述書の内容に限らず、事実に争いある事案の当事者(代理人)の主張は、結果的にはいずれかが「事実に反する」結果となることは避けがたい面があり、裁判所の判断は穏当と思われますが、他方、こうした訴訟の起きる背景(不満をもたれる当事者がいること等)にも留意が必要かとは思われます。

本年7月に、クレジットカード取引の安心・安全に関する国民の意識を把握し今後の施策の参考とすることを目的として、実施されたようですが、そもそも、過半数(57.9%)がクレジットカードの積極的な利用を望んでいないという興味深い結果が示されました。なお、積極的利用を望むのは39.8%です。
インターネット契約などクレジットカードがないとスムースに契約できないシステムがつくられていますが、そもそもクレジットカードを望まない者も多数存するのであり、クレジットカードの存在を前提とした安全性確保の検討のみではなく、クレジットカード以外の方法によるシステム構築こそが必要とも思われます。

調査結果 http://survey.gov-online.go.jp/tokubetu/h28/h28-credit.pdf

東京高裁平成27年3月24日判決(判例時報2298号47頁)は、「民法は、債務者の認識を通じて、債権についての取引の安全を確保しようとしている」ことなど民法上の規定・趣旨を重視し、「本件みなし到達規定」は。「結局のところ、債務者の認識を通じて債権の取引の安全を確保しようとする民法の趣旨を没却することになるというべきである。」として、その合意(みなし到達規定)の効力を否定しました(上告あり)。

 

債権譲渡の場面の判示ですが、民法の解釈・実務的感覚の理解として参考になると思われます。

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