2017年3月アーカイブ

福岡地裁平成28年4月28日(労働判例1148号58頁)は、本件自殺前の半年間に恒常的に月100時間前後の時間外労働に従事していたこと、継続的な叱責及び暴行を受けていたことなども踏まえ、自殺との相当因果関係も認め賠償を命じたものです(控訴棄却・確定)。

 

深刻な労災被害事案の救済につながる判断と思われます。

ブライダル関連会社における給与・解雇予告手当の不払事案で、原告(労働者)側の請求を全面的に認めたものです(労働判例1147号83頁)。

 

事実上の廃業事案において、会社法429条1項による救済を図ったものとして、参考になるものです。

 

(役員等の第三者に対する損害賠償責任)

第四百二十九条  役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。

 取締役及び執行役 次に掲げる行為

 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録

 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

 虚偽の登記

 虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)

 会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

 監査役、監査等委員及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

 会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

(役員等の連帯責任)

第四百三十条  役員等が株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の役員等も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

女性アイドルが男性ファンと交際したとする事案です。東京地裁平成28年1月18日判決(判例時報2316号63頁)は、女性アイドルの年齢等も考慮し契約からの解放を認めたうえ、男性ファンとの性的交際が形式上は契約に違反するとしつつ、幸福追求権等の観点から損害賠償義務を負うのは害意等が認められる場合に限定したものです(控訴あり)。

 

近時、具体的に問題となることが多い事案であり参考になると思われます。

大阪高裁平成28年4月22日判決(判例時報2315号61頁)は、検察官による捜索差押許可状の請求及びその執行等を違法としたものです。裁判官の令状発付行為の違法性も問われていましたが、この点は違法性は認められないとしたものです。

東京地裁平成27年7月7日判決(判例時報2315号132頁)は、最高裁昭和36年11月21日(刑集15巻10号1764頁、判例時報281号30頁、判例タイムズ126号49頁)の「刑訴一九七条は、捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる旨を規定しており、同条は捜査官の任意捜査について何ら制限をしていないから、同法一九八条の「被疑者」という文字にかかわりなく、起訴後においても、捜査官はその公訴を維持するために必要な取調を行うことができるものといわなければならない。なるほど起訴後においては被告人の当事者たる地位にかんがみ、捜査官が当該公訴事実について被告人を取り調べることはなるべく避けなければならないところであるが、これによって直ちにその取調を違法とし、その取調の上作成された供述調書の証拠能力を否定すべきいわれはなく、また、勾留中の取調であるのゆえをもって、直ちにその供述が強制されたものであるということもできない。」との規範を踏まえたうえで、否認していること等などの事情から、起訴後の取調べの適法性を否定したものです。

労働契約法第20条は、(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)するものとして、「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」と規定するなか、同法違反を認定する判断として、ハマキョウレックス事件・大阪高裁平成28年7月26日判決(労働判例1143号5頁)、長澤運輸事件・東京地裁平成28年5月13日判決(判例時報2315号119頁)が出されています。いずれも、労働契約法第20条違反は私法上の効力(契約の無効、損害賠償の発生)を認める一方、労働基準法第13条のような契約内容を直接に律する補充的・直律的効力まで認めず、労働協約・就業規則・労働契約の合理的解釈を通じて同様の効果を図ろうとする考え方と理解されます。

 

実務上、重要な判断であり、労働判例1148号5頁以下でも上記各裁判例の特集解説がなされています。

最高裁平成28年7月15日判決(第1事件)は、原審(高松高裁平成25年8月29日判決)・第一審(徳島地裁平成25年1月27日判決)が、市の補助金交付は地方自治法232条の2の「公益上必要がある場合」の裁量の範囲内として適法と判断したことを破棄し、違法性を認めたものです。最高裁平成28年7月15日判決(第2事件)は、市が事後的に条例を制定し遡及適用により適法化を図ったとしても、遡及的に適法になるものではないとしたものです(いずれも破棄差戻。判例時報2316号53頁)。

 

いずれも高裁・地裁の安易な行政追随の判断の誤りを厳しくかつ明確に指摘するもので、下級審裁判所の司法機関としての判断・態度に反省をせまるものです。

 

(寄附又は補助)

第二百三十二条の二  普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。

東京高裁平成28年8月31日判決(判例時報2315号23頁)は、証券会社の過失も踏まえ、法人への効果帰属を否定しました(上告・上告受理申立あり)。

 

証券会社・金融機関の調査確認義務の範囲として議論される問題でもありますが、地方公共団体との事案では、住民が自治体担当者の言動を信頼しても、『議会承認が必要』として効果不帰属とされていることからすれば、それらに整合的な判断とも言えます。

本件(判例時報2315号83頁)は新車に関するものですが、実際には中古自動車売買でのトラブルも多く、中古自動車について瑕疵担保責任を認めた事案として、メーター巻き戻し事案について大阪地裁平成20年6月10日判決(判例タイムズ1290号176頁)、ガソリン漏れ事案について東京地裁平成16年4月15日判決(金融・商事判例1231号56頁)などがあります。

【東日本大震災】弁護士会意見など

被災直後1か月間の地元新聞を保管しており、読み直しております。
軽々には言葉を発せられませんが、改めてお悔やみ、被害と向き合っての立ち直りの決意等を感じるものです。
弁護士会の一員として、努力を重ねたいと思います。

仙台弁護士会の会長声明
http://senben.org/archives/6768

岩手護士会の会長声明
http://www.iwateba.jp/wp-content/uploads/2017/03/東日本大震災発生からの6年を迎えての会長声明290311.pdf

日弁連の会長談話
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/170311.html

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