2017年4月アーカイブ

文部科学省の科学研究費補助金(科研費)関係の報告です。平成28年度の報告が下記アドレスから見ることができます。
日本のほかドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、ブラジル、中国の概要・雰囲気を感じることができ、参考になるものです。

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170330_4.html

会社法9条は、(自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任)として「自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。」と規定しており、かつて名板貸責任といわれていたものです。神戸地裁姫路支部平成28年2月10日(判例時報2318号142頁。金融商事判例1512号8頁)は同条の類推適用によってホテルの法的責任を認めたものです(賠償額約8727万円)。平成17年改正商法前の商法23条に同様の規定があり、最判平成7年11月30日もスーパーマーケット、同店内のペットショップの事案で、同条類推適用によってスーパーマーケットの責任を認めました。なお、最判昭和43年6月13日において営業は同種である必要があるとはされていますが、同種性は外観等から判断されるものと理解されています。

 

本判断の前提となる問題点は、「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは、重複起訴を禁じた民訴法142条の趣旨に反し、許されない(最高裁昭和62年(オ)第1385号平成3年12月17日第三小法廷判決・民集45巻9号1435頁参照)。」との規定・判断ですが、最高裁平成27年12月14日判決(金融・商事判例1484号8頁)は、前記問題点の指摘に引き続き、「しかし、本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として、反訴において、当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許されると解するのが相当である。その理由は、次のとおりである。」「時効により消滅し、履行の請求ができなくなった債権であっても、その消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、これを自働債権として相殺をすることができるところ、本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断される場合には、その判断を前提に、同時に審判される反訴において、当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権とする相殺の抗弁につき判断をしても、当該債権の存否に係る本訴における判断と矛盾抵触することはなく、審理が重複することもない。したがって、反訴において上記相殺の抗弁を主張することは、重複起訴を禁じた民訴法142条の趣旨に反するものとはいえない。このように解することは、民法508条が、時効により消滅した債権であっても、一定の場合にはこれを自働債権として相殺をすることができるとして、公平の見地から当事者の相殺に対する期待を保護することとした趣旨にもかなうものである。」と判示しました。

 

原審(東京高裁平成25年1月31日・金融商事判例1484号14頁)は相殺の審理・判断をしなかったようで最高裁で破棄差戻しとされました。

大阪高裁平成28年3月2日決定(判例時報2310号85頁)は、原審を変更し、各人を特別縁故者と判断しました(確定)。

特別縁故者の規定は下記のとおりで、実務上、具体的判断の参考になると思われます。

 

(特別縁故者に対する相続財産の分与)第九百五十八条の三  前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

 前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

最高裁平成29年1月24日(金融商事判例1510号30頁)は、「クロレラには免疫力を整え細胞の働きを活発にするなどの効用がある旨の記載や、クロレラを摂取することにより高血圧、腰痛、糖尿病等の様々な疾病が快復した旨の体験談などの記載がある本件チラシ」について、「原審は、法12条1項及び2項にいう「勧誘」には不特定多数の消費者に向けて行う働きかけは含まれないところ、本件チラシの配布は新聞を購読する不特定多数の消費者に向けて行う働きかけであるから上記の「勧誘」に当たるとは認められないと判断して、上告人の上記各項に基づく請求を棄却した。」ことについて、「原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。」として、「法は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、消費者の利益の擁護を図ること等を目的として(1条)、事業者等が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、重要事項について事実と異なることを告げるなど消費者の意思形成に不当な影響を与える一定の行為をしたことにより、消費者が誤認するなどして消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をした場合には、当該消費者はこれを取り消すことができることとしている(4条1項から3項まで、5条)。そして、法は、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため、事業者等が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、上記行為を現に行い又は行うおそれがあるなどの一定の要件を満たす場合には、適格消費者団体が事業者等に対し上記行為の差止め等を求めることができることとしている(12条1項及び2項)。」「ところで、上記各規定にいう「勧誘」について法に定義規定は置かれていないところ、例えば、事業者が、その記載内容全体から判断して消費者が当該事業者の商品等の内容や取引条件その他これらの取引に関する事項を具体的に認識し得るような新聞広告により不特定多数の消費者に向けて働きかけを行うときは、当該働きかけが個別の消費者の意思形成に直接影響を与えることもあり得るから、事業者等が不特定多数の消費者に向けて働きかけを行う場合を上記各規定にいう「勧誘」に当たらないとしてその適用対象から一律に除外することは、上記の法の趣旨目的に照らし相当とはいい難い。」「したがって、事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても、そのことから直ちにその働きかけが法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たらないということはできないというべきである。」と判示しました。

 

原審(大阪高裁平成28年2月25日・金融商事判例1490号34頁)は、従前の行政解釈に従ったものでしたが、最高裁はこれを否定し、実質上、チラシも消費者契約法上の「勧誘」にあたるとしたもので、実務上、他の勧誘行為の理解・解釈においても消費者被害救済のみちを拡げる極めて重要な判断です。

 

裁判所HPに判決全部が掲載されています。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86454

平成29年4月14日付け発表です。

掲載文書 → https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/jidounten/kouhou/290414kotsukyoku.pdf

「平成 28 年 11 月、千葉県八千代市において、日産自動車(以下「日産」という。)社製の試乗が、「プロパイロットシステム」を使用した走行中に、運転者が前方停止車両を認識していたも関わらず、自動車販売店店員の誤った認識に基づく指示により、ブレーキをかけずに走行た結果、走行環境の影響から衝突被害軽減ブレーキが作動せず、前方停止車両に追突し前方停止車両に乗車中の2名が負傷する事故が発生しました。」との事故や他の例に基づく注意喚起です。

同掲載文書の「ドライバー責任」と法的責任とは一致するものではないと思われ、事業者の公表・説明内容も含め、製造側の事業者への対応が強く求められるものです。


東京地裁平成28年4月13日判決(判例時報2318号56頁)は、「本件補助鍵設置は、原告の住居たる本件物件への立ち入りを強制的に遮断する行為」「本件家財撤去行為は、刑事において窃盗罪又は器物損壊罪に処せられるべき行為」は「不法行為責任を免れない。」として、財産的損害として30万円、精神的損害として20万円、弁護士費用として5万円の合計55万円の損害賠償を認めました。

 

実務上、被害救済に役立つ裁判例であり、同種事例は前記判例時報の解説にも多数掲載されています。

特殊詐欺は銀行口座等の金員受領先がなければ成り立たない一方、その口座から検挙されないために仮名・他人名義の口座を必要とします。内職募集に応じた者らからは明確な特殊詐欺関与の意識がなかった旨の反論がなされますが、東京地裁平成28年3月23日判決(判例時報2318号40頁)は、郵便転送の業務内容、本人確認書類の重要性等から少なくとも過失が存するとして幇助責任(共同不法行為責任)を認めました(確定。一部のものについて過失相殺あり)。

 

特殊詐欺被害救済にとても参考になる判断です。

国民生活センターHPで注意喚起がなされています。近時、裁判例も複数出されており、また、アダルトビデオ出演強要問題にもつながる問題です。国民生活センターHPに公表資料や内閣府の注意喚起情報へもアクセスできます。

 

国民生活センターの該当ページ

http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/tm_keiyaku.html

殺人罪の事案です。原審(長野地裁松本支部平成26年12月24日判決)は、起訴前の精神鑑定に依拠していたようです。東京高裁平成28年5月11日判決(判例タイムズ1431号144頁)は、「合理的とはいえない起訴前の精神鑑定に依拠し、心神耗弱の認定をしており、論理則、経験則等に照らして不合理な認定としたものといわざるを得ず、事実誤認がある。」としました(確定)。

 

刑事事件における事実認定の参考になり、また、弁護活動の留意点を示す事案と思われます。

判例時報の解説(2316号119頁)でも触れられているとおり、有罪判断確定の前から検察官の補充捜査によって被害者の処女膜が破れていないことが判明していたとのことです。弁護人はこの点も主張していたとのことですから、本件は、我が国の刑事裁判(検察官、裁判官)の根深い問題を示すものであり、本件に限らないと考えるのが自然であり、担当検察官・裁判官らが関与した他の事案も注意が必要であり、また、担当検察官・裁判官らの責任が問われてもやむ意を得ないものと思われます。

京都地裁平成28年3月29日判決(労働判例1146号65頁)は、「原告について、被告が教員として問題であるとする行為や態度には必ずしもそのおうに評価することが相当でないものも含まれ、これを措くとしても、被告から原告に対する指導や指摘がなかったために、原告がこれを改善する可能性がなかったとまでは認められず、また、被告における原告への配慮が限度を超える状態に達していたとも認められないのであって、これらを総合評価すると、未だ、原告が大学教員として必要な適格性を欠くと評価することはできない。」と述べ、解雇を違法・無効としました(控訴あり)。

 

解雇の客観的合理性の判断事案として参考になると思われます。

判例時報2315号44頁に掲載されています。

消費者庁の判断は、消費者庁の機能・消費者庁に対する国民の信頼を著しく損なわせるもので、残念なものです。近時の活動等、設立時の意義・期待を再認識し実効的な判断・活動がなければ、消費者らからの信頼自体が失われかねないものと思われます。

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