2018年1月アーカイブ

東京地裁平成29年5月31日判決(労働判例1167号64頁)です。いわゆる固定残業代など複数の争点ある事案ですが、・・・を引用したうえ、「本件異動命令が報復的措置としてなされたものではないとしても、翌日から転居を伴う異動を命ぜられた労働者の不利益からは、通常甘受すべき程度を著しく超えるものと評価するのが相当である。」として、異動命令は不法行為を構成するとし、異動命令が数日後に取りやめになったことを踏まえても、金9万円(慰謝料)の賠償を認めるのが相当としたものです。

 

労働現場では翌日・数日後の命令が出されることもあり、以前はこうした命令が有効性とされることもありましたが、近時の社会状況等の変化を踏まえた労働者の生活・権利保護に参考になるものと思われます。

いずれも判例時報2352号3頁以下に掲載されています。

結論が異なっている明確な違いを見出すことは難しい面もありますが、結論として採用が有効とされた②の事案は受験者が不正加点の年度後の試験も受け続け合格していること、①の事案は受験者(合格者)を指導した者が不正加点に関与しているとも把握されることあたりに相違があるようです。

最高裁の判断が注目されますが、裁判の難しさを示す例でもあり、参考になると思われます。
詳しくは仙台弁護士会ホームページに掲載されています。
senben.org/
本日29日(月)13時~、亀田紳一郎仙台弁護士会会長と郡和子仙台市長とのトークライブ(対談)もあります。

判例時報2352号61頁に掲載されています。

上告・上告受理申立も排斥され確定しています。これまでの判例(大判大7年3月9日・刑録24・197、最高裁昭和51年1月16日・裁判集民117・1)の流れに沿うものですが、近時の高裁判例としても参考になると思われます。

民法941条1項は「相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から三箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。」と規定しているのみであるところ、最高裁平成29年11月28日決定(金融商事判例1532号8頁)は、「家庭裁判所は、相続人がその固有財産について債務超過の状態にあり又はそのような状態に陥るおそれがあることなどから、相続財産と相続人の固有財産とが混同することによって相続債権者等がその債権の全部又は一部の弁済を受けることが困難と認められる場合に、民法941条1項の規定に基づき、財産分離を命ずることができるものと解するのが相当である。」として同規定に基づき裁判所が財産分離を命じることができる場面(事案)を示しました。

 

相続の場面でよくある事案ではないですが、1・2審での判断が分かれていたこともあり、実務上、重要な判断と思われます。

2018年1月21日(日)から河北新報で特集・連載記事が掲載されています。被害者の声や甚大な被害の実態が報告されています。

問題点、提訴内容などを知るには以下も参考になります。

〇 提訴記事(日本経済新聞 2017年12月3日)

「不妊手術強制は『憲法違反』旧優生保護法で初提訴 宮城県内の女性」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24204690T01C17A2CR8000/?n_cid=DSPRM2946&waad=cCtk5cBF&gclid=EAIaIQobChMImLGDoPDr2AIVmgQqCh315QRFEAAYASAAEgJ9ZvD_BwE


〇 日弁連 2017年2月16日

「旧優生保護下において実施された優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶に対する補償等の適切な措置を求める意見書」
tps://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2017/170216_7.html


〇 仙台弁護士会 2017年6月22日

「旧優生保護法下において実施された優生手術及び人工妊娠中絶の被害者に対する謝罪、補償等の適切な措置を求める会長声明」
http://senben.org/archives/6882


民法の成年年齢の引下げ(20歳から18歳へ)が、現実的問題となっております。

消費者被害予防・救済の点から、国民生活センターも注意喚起をしています。
ww.kokusen.go.jp/news/data/n-20180104_1.html

消費者問題に長年取り組まれてきた河上正二教授は、「今まで、われわれ自身、若い頃に、その未成年者取消権で守られてきた存在なのです。それを、今、若者から奪おうとしているわけですから、それについての、いわばセーフティー・ネットを張っておくことは、これから大人に仲間入りしようとする若者に対する私どもの義務」(9月8日日弁連消費者契約法シンポジウムにおける河上正二教授のご発言)と述べられており、消費者被害救済・消費者教育の現場にいる私たちも、こうした視点も基礎に、問題に取り組む必要があるかと思っています。

判例時報2347号122頁に掲載されています。

個別具体的な関係における業者側の注意義務を把握するものとして、被害救済に参考になるものです。

自己破産免責の申立人について、同一性を失わせるため申立て2ヵ月前に離婚・復氏をしていたこと、1ヶ月半前に100万円を受領していたこと等を裁判所に報告していなかったことが事後に発覚した事案です(判例タイムズ1439号176頁)。

 

当然の結果とは思われますが、免責不許可判断の一例として参考となるものです。

判例タイムズ1403号13頁以下に東京地裁での免責不許可事案の一覧表も掲載されており参考になります。

例年公表されているものです。下記は概要です。下記ページから報告書本文も見ることができます。

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20171221_2.html

2017年は、還付金詐欺や訪問購入などで高齢者をターゲットにした悪質な勧誘、仮想通貨や格安スマホなどの新たな分野の相談が多く寄せられた年となりました。

2017年の10大項目

  • 狙われる高齢者 「還付金詐欺」、「訪問購入」での相談目立つ
  • 依然として多い「定期購入」トラブル 20歳未満でも多くみられる
  • 仮想通貨の利用広がる 「必ず儲(もう)かる」と勧誘されて購入するもトラブルに
  • 情報通信の多様化 格安スマホなどの相談も
  • 子どもの事故 加熱式たばこの誤飲、宅配ボックスに閉じ込めなどが発生
  • 「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品の危害 若い女性に多発
  • 格安旅行会社「てるみくらぶ」が経営破綻(はたん)
  • 景品表示法による初の課徴金納付命令 品質への信頼揺らぐ企業の不祥事
  • 改正特定商取引法施行 約120年ぶりとなる民法改正も
  • 集団的消費者被害回復制度の整備進む 特定適格消費者団体の認定と国民生活センター法の改正

判例タイムズ1440号213頁以下に掲載されています。

製造物責任法の適用事例として参考になるとともに、業者から被害者に対する威嚇的訴訟(いわゆるスラップ訴訟)について、「一般に、雑誌の記事の編集権は当該雑誌の出版社にあり、出版社は、その責任と権限において、種々の取材を行った上、事実を取捨選択して記事の内容を構成し、これを雑誌に掲載するものであるから,出版社に対して他人の名誉等を毀損する情報を提供した者は、自己の提供した情報がそのままの形で記事として掲載されることは予見していないのが通常であることから,情報提供者の名誉毀損を主張する者において,情報提供者が自己の提供した情報がそのままの形で記事として掲載されることを予見していたことを示す特段の事情を立証しなければならないものと解するのが相当である。またこの点からすれば,少なくとも情報提供行為との相当因果関係が肯定されない限り,他人の名誉等を毀損する記事等の掲載について情報提供者が教唆幇助を含む共同不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。」と判示して業者の威嚇的訴訟を棄却しました。

労働判例1166号61頁以下に掲載されています(確定)。

札幌地裁平成29年5月15日は、「本件事故の原因となった本件事故前後の気象状況は、通常の業務において遭遇することがまれな異常な災害と認められ、本件事故に遭ったことによって、原告には強い精神的負荷がかかり、本件脱出作業を余儀なくされたことで、原告には、相当程度に強い身体的負荷もかかったと認められるから、全体として考慮すると、本件事故及び本件脱出作業は、認定基準にいう異常な出来事であったと認めるのが相当である。」などと述べ、労災該当性を認めました。

 

猛吹雪などの自然災害下の労災事案として実務上も参考になると思われます。

判例時報2347号99頁に掲載されており、控訴後和解となったようです。

いわゆる横浜マンション傾斜問題などもあり、被害救済に参考になるものです。

最判平成19年7月6日を引用し、直接契約関係にない元請から孫請に責任追及できるとしている点も参考になります。

平成29年7月に公表されたものですが、「迅速化」の標題とは別に、1審に要する期間や人証(尋問)の実施率など、「司法統計」として参考になるかと思います。

公表資料は、裁判所HPからダウンロードできます。

http://www.courts.go.jp/about/siryo/hokoku_07_about/index.html

また、判例タイムズ1440号5頁以下にも掲載されています。

 

以下、何点か、参考事項です。


【全体について】


〇 民事第一審訴訟の新受件数は、14万8295件(うち4万7352件が過払金訴訟)(平成28年)

〇 民事第一審訴訟の新受件数は、過払金訴訟を除けば、ここ10年間、ほぼ9~10万件で推移している。

〇 民事第一審訴訟の平均審理期間は、8.6カ月(平成28年。過払金訴訟を除いても8.8カ月)

〇 人証調べ実施率は、14.6%、平均人証数は0.4(過払金訴訟以外では16.6%、0.4)


【建築関係について】


〇 建築関係訴訟の新受件数は、1969件(過払金訴訟除く全体の約2%)で、請負代金訴訟が1498件、建築瑕疵損害賠償訴訟が471件(平成28年)

〇 建築関係訴訟の平均審理期間は、18.8カ月で、請負代金訴訟が12.8カ月、建築瑕疵損害賠償訴訟(瑕疵主張あり)が24.3カ月(平成28年のまとめ)

〇 鑑定の実施率は、請負代金訴訟が0.4%、建築瑕疵損害賠償訴訟が2.3%(なお、民事第一審全体は0.5%)

〇 瑕疵主張ありの事案で付調停となると、平均審理期間は30・0カ月(瑕疵主張なしでも26・2カ月)

本年も事務所一同、皆様・社会に役立てるよう日々与えられた立場を全うすべく業務に取り組みますので、

何卒、宜しくお願い申し上げます。

 

司法関係の挨拶です。現時点で新年のものが未掲載の機関もあります。

 


日本弁護士連合会・中本和洋会長(1月1日掲載)

https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/organization/message.html

 


最高裁判所・寺田逸朗長官(1月4日掲載)

http://www.courts.go.jp/about/topics/sinnennokotoba_h30/index.html

 


検察庁・西川克行検事総長(平成28年9月5日就任時のもの)

http://www.kensatsu.go.jp/kenjisouchou/index.htm

 


法務省・上川陽子大臣(平成29年8月4日就任時の訓示)

http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00920.html

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