弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
  • HOME
  • >
  • カテゴリー: 知的財産
  • 【裁判・知的財産】いわゆる判例百選の編者の1人が編集著作者と認められ、改訂版の差止仮処分が認められた事案(東京地裁H28・4・7)

    東京地裁28年4月7日決定(判例時報2300号76頁)です。

    理論的にも関心がよせられている事案ですが、「判例百選」という法曹にとっては学生時期からなじみの深いもので、関心がよせられていました。

    編者は大学教授であり、「著作権判例百選(第4版)」の改定に関し争われた事案です。

    【裁判・民事】オンライン送達が、送達先の代理人弁理士の意思能力欠如等により無効とされた事案(知財高裁H25・3・25)

    知的財産権の事案であり工業所有権に関する手続等の特則に関する法律5条1項の規定によるいわゆるオンライン送達の手続での問題ですが、送達受領者の意思能力の問題など一般的にも問題になり得るもので、実務上も留意すべきものと思われます(判例時報2233号137頁)。

    【裁判・知的財産】ジャニーズメンバーの写真の無断掲載につき、パブリシィ権侵害として、不法行為法上の違法性を認め、賠償を命じた裁判例(東京地裁H25・4・26)

    パブリシィ権については、最高裁平成24年2月2日判決が「人の氏名、肖像等(以下、併せて「肖像等」という。)は、個人の人格の象徴であるから、当該個人は、人格権に由来するものとして、これをみだりに利用されない権利を有すると解される(氏名につき、最高裁昭和58年(オ)第1311号同63年2月16日第三小法廷判決・民集42巻2号27頁、肖像につき、最高裁昭和40年(あ)第1187号同44年12月24日大法廷判決・刑集23巻12号1625頁、最高裁平成15年(受)第281号同17年11月10日第一小法廷判決・民集59巻9号2428頁各参照)。そして、肖像等は、商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があり、このような顧客吸引力を排他的に利用する権利(以下「パブリシティ権」という。)は、肖像等それ自体の商業的価値に基づくものであるから、上記の人格権に由来する権利の一内容を構成するものということができる。他方、肖像等に顧客吸引力を有する者は、社会の耳目を集めるなどして、その肖像等を時事報道、論説、創作物等に使用されることもあるのであって、その使用を正当な表現行為等として受忍すべき場合もあるというべきである。そうすると、肖像等を無断で使用する行為は、①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し、③肖像等を商品等の広告として使用するなど、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、パブリシティ権を侵害するものとして、不法行為法上違法となると解するのが相当である。」と述べるとおりであり、本件は、これの具体的な適用事例です(東京地裁判決は判例時報2195号45頁)。社会的に活動中の有名グループらの事案であり、その賠償額も含め参考になると思われます。

     

    最高裁平成24年2月2日判決・最高裁HP↓

    http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81957&hanreiKbn=02