弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・民事】承諾のもと自動車の名義上の所有者兼使用者となった者につき、自賠責3条の運行供用者に当たるとした最高裁判例(H30・12・17)

    金融・商事判例1563号8頁以下に掲載されています。

    同解説に、運行供用者に関する主な最高裁判例も掲載されています。

    本判断も最高裁の判断の傾向にそうものかと思われますが、高裁は異なる判断をしたこともあり、事例判断とはいえ実務上も参考となる判断と思われます。

    【裁判・家族】面会交流に応じない場合の強制金について、不履行1回5万円とする原決定を変更し20万円とした裁判例(大阪高裁H30・3・22)

    判例時報2395号71頁に掲載されています。

    原決定後2回ほど履行されているとしても、約3年間にわたり拒否していたこと等を踏まえて、判断されたものです。

    家族関係についての法的判断は難しい面もありますが、親子の交流は、子どもの成長とともに時々に実現されなければ、実質的には回復不可能なものとなりますから、相当な判断と思われます。

    【裁判・相続】共同相続人間においてなされた無償の相続分譲渡は、民法903条1項に規定する贈与にあたるとする最高裁判例(H30・10・19)

    金融・商事判例1563号22頁以下に掲載されています。

    最高裁平成30年10月19日判決は、「共同相続人間で相続分の譲渡がされたときは、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転し、相続分の譲渡に伴って個々の相続財産についての共有持分の移転も生ずるものと解される。」「そして、相続分の譲渡を受けた共同相続人は、従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分とを合計した相続分を有する者として遺産分割手続等に加わり、当該遺産分割手続等において、他の共同相続人に対し、従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分との合計に相当する価額の相続財産の分配を求めることができることとなる。」「このように、相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、譲渡人から譲受人に対し経済的利益を合意によって移転するものということができる。遺産の分割が相続開始の時に遡ってその効力を生ずる(民法909条本文)とされていることは、以上のように解することの妨げとなるものではない。」「したがって、共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、上記譲渡をした者の相続において、民法903条1項に規定する「贈与」に当たる。」と述べ、東京高裁の判断を破棄し差し戻したものです。

     

    遺留減殺請求の取扱いとして実務上も重要な判断です。

     

    (特別受益者の相続分)

    民法903条

    1 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

    2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。

    3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

    【参考・情報】月刊国民生活3月号 キャッシュレス化と暮らしの特集(国民生活センターHP)

    「月刊国民生活」は、国民生活センターHPで閲覧・ダウンロードできます。

    今月は「進むキャッシュレス化と暮らし」の特集があります。急激な社会の変化のなか参考になるかと思います。

    http://www.kokusen.go.jp/wko/index.html

    【裁判・学校】中学2年生の女子卓球部員が練習場の校舎4階から転落し重大な後遺障害を負うに至った事案につき、学校側は転落防止策をとったうえで廊下の窓を開ける作業を指示すべきであったとして学校を設置する町に損害賠償を命じた裁判例(広島地裁H30・3・30)

    判例時報2392号35頁に掲載されています。

    被害に遭われた方々の救済はもちろんのこと、学校は安全であるべきで、また、そうあって欲しいという観点からも、判決内容から現場が学ぶことも多いと思われます(確定)。

    【裁判・刑事】警察官が参考人が供述していない内容を付け加えて記載した供述調書疎明資料として捜索差押許可状を受け大麻を差押えた事案について、捜査・証拠取得の重大な違法性から無罪とした裁判例(横浜地裁H28・12・12)

    判例時報2392号91頁に掲載されています。 

    捜査機関の重大な問題であり、捜査機関の一体性や組織実態からは、偶発的・単発的な事案とは考え難く、今後とも係る観点から裁判所の審査が必要とされるものと思われます(確定)。

    【裁判・民事】被害者の行使する自賠責16条1項に基づく請求額と労働者災害補償保険法12条の4第1項により国が行使する請求額の合計額が自賠責保険の保険金額を超える場合、被害者は国に優先して賠償額の支払いを受けられるとする最高裁判例(H30・9・27)

    金融・商事判例1550号14頁に掲載されています。

    被害者の直接請求権については、最判平成30年2月19日が被害者優先説の考え方を示していましたが、それが労災保険の事案にも妥当することを示したもので、自賠責や裁判実務上も重要な判断です。

    【裁判・民事】盗難車による事故につき、車両保有者の運行供用者責任を否定した裁判例(名古屋地裁H30・6・6)

    判例時報2390号92頁に掲載されています。

    盗難車であることから直ちに運行供用者責任が否定されるものではありませんが、本判決は、被害届が出されていること、加害者車両が警察の追跡を受けていたこと、その追跡を受けている途中での事故であることなどから運行供用者責任を否定したもので。他方、運転者がエンジンをかけたまま車両を離れていた事情もあり、微妙な事案とも思われ、控訴もされています。

    【裁判・行政】監査請求人の氏名・住所・職業等が記載された名簿(写し)を市議会議員の全員協議会の出席者に配布した行為がプライバシ―侵害にあたるとして賠償を命じた裁判例(大津地裁H30・2・27)

    判例時報2387号115頁に掲載されています(確定)。

    賠償額は原告1名6000円です。

    市側の弁解に対し次のように厳しく指摘し排斥しており、行政の現場としても参考になるものと思われます。

    「被告は、C議員らやA市長が本件名簿の開示を要請したのは、本件監査請求に対し、高島市議会としての対応を決する上で必要だったのであり、加えて、本件監査請求の適法性を確認するとともに、以前の監査請求との関連性や住民訴訟提起の可能性等を検討する上でも、請求人が誰であるかを確認する必要性があったこと等から、本件開示行為は、所掌事務遂行のために必要であった旨主張する。」「しかしながら、住民監査請求は地方公共団体の住民であれば誰でもすることができ、住民監査請求があった場合、監査委員が監査を行うこととされており、その過程に議会及び議員が関与することは予定されていない(地方自治法242条)。したがって、被告市議会が本件監査請求自体に対応する場面は想定されておらず、同項所定の勧告への対応についても、あるいは、住民訴訟が提起された場合の対応についても、監査請求の内容と理由が判明していれば足るのであって、誰がその請求をしたのかを知る必要はない。また、請求人が高島市の住民であるか否かという点は、監査請求の適法要件にすぎず、選挙で住民の代表として選出された市議らが本件全員協議会においてわざわざ確認する必要がある事項とは考え難い。以前の監査請求との関連性についても、請求人の異同を確認すれば足り、誰が請求人であるかを個別に確認までする必要はないし、住民訴訟提起の可能性についても同様である。さらに、本件名簿の写しが開示されたことが、その後の被告議会の具体的な対応にどのように結び付いたのかについても、全く明らかではない(C市議らの陳述書(乙2~4)にも、そのことには一切触れられていない。)。以上のとおり、被告が主張する理由は、いずれも本件名簿の開示まで求める必要性を基礎付けることが全くできておらず、かえって、本件訴訟に至っても、このような主張しか提出できないこと自体、C市議らが本件名簿の開示を求めたことを正当化できる必要性が存在しなかったことを強く窺わせる。そして、A市長も、同様に、個人情報の開示の必要性について十分に検討することなく、C議員らに求めに応じてB事務局長に本件名簿の提出を命じ、同事務局長も同様にこれに応じたというほかない。」

    【裁判・破産】仮想通貨ビットコインの交換取引所運営会社の破産に関し、利用者主張の破産債権額が認められなかった事例(東京地裁H30・1・31)

    判例時報2387号108頁に掲載されています。

    利用者主張のビットコイン保有自体が否定された事案のようですが、仮想通貨事案として参考になろうかとは思われます。