弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・労働】医療法人からの看護学校就学資金等の貸付契約に基づく貸付金返還請求を棄却(否定)した裁判例(広島高裁H29・9・6)

    労働判例1202号163頁に掲載されています(確定)。

    医療法人が学生(とその親族を連帯保証人にして)看護学校の修学費用名目で貸し付けをしたうえ、卒業後は一定期間その医療法人の関係する病院等での労働を行わなければ、全額(利息や損害金が加算されるなど)請求される規定があり、そのことによって過酷な労働に拘束され、或いは多額の債務負担を余儀なくされる実態が少なからずありましたが、そうした事案を救済する判断です。同種事案において、個別具体的な事実・規定の検討は必要ですが、同種の事案の被害救済に参考となるものです。

     

    (この法律違反の契約)

    第十三条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。

    (賠償予定の禁止)

    第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

    【裁判・民事】外国裁判所の確定判決の効力を規定する民事訴訟法118条3号にいう「公の公序」について判断した最高裁判決(H31・2・18)

    判例時報2409号31頁に掲載されています。

    最高裁HP http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88253 にも掲載されています。

     

    民事訴訟法の規定は以下のとおりです。

    最高裁は「 外国裁判所の判決に係る訴訟手続において,当該判決の内容を了知させることが可能であったにもかかわらず,実際には訴訟当事者にこれが了知されず又は了知する機会も実質的に与えられなかったことにより,不服申立ての機会が与えられないまま確定した当該判決に係る訴訟手続は,民訴法118条3号にいう公の秩序に反する。」と判示したものです。

    いわゆる国際化もと、実務上も留意すべき判断です。

     

    (外国裁判所の確定判決の効力)

    第百十八条 外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する。

    一 法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。

    二 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。

    三 判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。

    四 相互の保証があること。

    【お知らせ】当事務所は「8月15日(木)まで」の間、音声電話対応になります。

    お手数おかけしますが、8月15日までの間、当事務所は音声電話対応になります。

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    【裁判・労働】力士契約の法的性質等について判断した裁判例(東京地裁H29・3・28)

    判例タイムズ1457号244頁に掲載されています。

    本判決は力士契約の法的性質について、下記のとおり述べ、結論として契約終了を認めました。力士契約の法的性質については、準委任契約とするもの、労働契約(同視)と把握するもの、双方をあわせた無名契約とするもの、特に判断せずに結論導くもの等の複数の裁判例があり、上記判例タイムズの解説欄にまとめられています。

    社会的にも関心が寄せられていたことやスポーツ競技における競技者の法的保護のための検討事案としても参考になろうかと思われます。

    本件力士契約ないし本件力士契約と同趣旨の力士と被告との間に締結される契約(以下「力士契約」という。)は、力士において、相撲道により培った技量を被告の主催する本場所又は巡業における相撲競技において発揮するという義務を負うことを本質的な内容とするものということができる(上記第2の2(2)の前提事実)。そして、大相撲におけるこの力士の義務として具体的に果たすべきものは、精神的、肉体的に厳しい修練を経て可能となる極めて高度かつ専門的なものであって、個々の力士がその履行に当たって被告の指揮命令を受けるものではなく、当該力士自身が自主的・主体的に追求した技量を発揮することによって行われるものであることが明らかであるから、原告及び被告らが共に主張するとおり、力士契約は、その基本において、準委任契約に類似した性質を具有するものとして是認することができる。

    もっとも、上記(1)アからオまでにおいて認定した本件定款、本件規則、本件業務委託契約、本件業務委託費用規程及び本件賞罰規程の各定めにおいて明示的に定められ、又はその当然の前提とされているように、力士契約においては、力士を志望する者は、原則として23歳未満の者とされ、被告の事業の実施にあたる年寄であり、かつ、被告から力士等の育成の業務委託を受けた師匠の地位にある者が運営する相撲部屋に所属し、師匠を経て被告の協会員たる力士としての地位を取得した上で、当該相撲部屋に所属する他の力士らと寝食を共にし、相当期間にわたって、相撲道の精進に向けての生活指導を含めた育成指導を師匠から受け、本件賞罰規程の規律にも服することが予定されているものであり、また、このような力士契約の内容の実施を可能とするために、師匠に対しては、別途にその費用や報酬が被告から支払われることが取り決められているものと解される。このような力士契約の内容は、民法制定前から存在する相撲部屋制度を含む力士と師匠との関係を踏まえた取引法原理に直ちになじみ難い側面を有することを否定することができないものの、法的には、準委任契約に類似した性質をその基礎として有しつつも、単なる事務の委任にとどまらない複合的な要素をも含むものとして、全体としては、力士と師匠及び被告との間の信頼関係を基礎とした継続的な有償双務契約としての性質を有する無名契約と評するほかない。

    このような力士契約の内容や性質に鑑みると、民法第656条の規定において準用する同法第651条第1項の委任の解除に関する規定をそのまま適用することはできないが、上記(1)カにおいて認定したように、相撲部屋制度を前提とした上で、力士の養成を被告から一任され、力士が居住する相撲部屋を運営し、その指導を行う地位にある師匠が引退届を被告に提出することにより力士契約を終了させることが予定されているということ(上記第2の2(4)及び(5)並びに上記(1)キにおいて認定した原告並びに□□親方及び被告の行動も、これに沿うものであるということができる。なお、この引退届を師匠が被告に提出することによる力士契約の終了は、本件賞罰規定第4条(7)の懲戒解雇とは別個の力士契約の終了事由であると解される。)自体には、一定の合理性を見いだすことができる。しかしながら、上記において説示したように、力士として相撲部屋に所属することが力士にとって生活の基盤そのものでもあり、これを力士契約が当然の前提としていると解されることからすれば、当該力士自身による承諾がない場合においては、これを特別な事情というかどうかは措くとしても、力士契約を終了させる師匠による引退届の提出については、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないようなものではないものでなければならないと解することが、力士契約における当事者間の合理的意思にかなうものとして、相当である。

    【裁判・民事】違法な仮差押命令の申立てにより、債務者がその後に第三債務者との間で新たな取引が行われなくなったとして、債務者からなされた損害賠償請求について、相当因果関係はないとして最高裁判決(H31・3・7)

    金融・商事判例1570号8頁に掲載されています。

    第三者債務者は百貨店です。原審(大阪高裁平成29年4月21日)は認めたものを、最高裁が否定し、差し戻したものです。

    仮差押命令申立てが事後に違法・不法行為との判断を受ける場合があり、実務上悩ましいものですが、その場合の損害判断として参考になるものです。

     

    【裁判・労働】アルバイト職員に対する賞与不支給等について、正職員との相違に合理性は存しないとして違法として裁判例(大阪高裁H31・2・15)

    労働判例1199号5頁、判例タイムズ1460号56頁に掲載されています(上告・上告受理申立あり)。

    労働契約法20条に関する平成30年6月1日の2つの最高裁判決後の事案として、参考となるものです。賞与については、対象期間に在籍していたことを支給の趣旨とすればアルバイトと正職員とで異なる取扱い(アルバイトに支給しない)に合理性は見出し難いとするものです(支給金額は差異を認めています)。

    【裁判・相続】遺言能力が欠如していたとして公正証書遺言を無効とした裁判例(大阪高裁H30・6・28)

    判例タイムズ1458号159頁に掲載されています(確定)。

    弁護士立会のもと作成されたもので、1審(神戸地裁伊丹支部平成29年12月25日)では有効とされたもので、遺言者が遺言内容を理解することは困難であったとしたものです。

    【裁判・労働】使用者と労働組合との間の合意により組合員の未払賃金債権が放棄されたとはいえないとする最高裁判例(H31・4・25)

    判例タイムズ1461号17頁に掲載されています。

    原審は(大阪高裁平成29年7月14日)は放棄を認め、また、労働組合法の規定からは、議論もわかれるところかもしれませんが、近時の最高裁の考え方を理解する意味でも参考となるものです。

    【裁判・労働】妊娠・出産による不利益取扱い等について違法として地位確認等を認めた裁判例(東京地裁H30・7・5)

    労働判例1200号48頁に掲載されています(確定)。

    育児介護休業法の趣旨や視点から、労働者側の同意等を慎重に判断すべきことが述べられるなど、実務上も参考となると思われます。

    【裁判・家族】養親から相続財産全部の包括遺贈を受けたとしても、養親と別の子との養子縁組の無効の訴えを提起するについて法律上の利益を有するとはいえないとする最高裁判例(H31・3・5)

    判例タイムズ1460号39頁に掲載されています。

    当該事案として参考になるほか、家族法における法律上の利益の関係の視点としても参考になろうかと思われます。