弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・医療】歯の審美的治療において、医学的には健康な自然歯を削る必要性等の説明が不十分であったとし、歯科医師の説明義務違反を認め、慰謝料及び弁護士費用の賠償を命じた裁判例(東京地裁H28・4・28)

    東京地裁平成28年4月28日判決(判例時報2319号49頁)で、判例時報の解説欄に、多数の参考裁判例、文献が載っています。『説明を受けていれば歯を削らなかった』との因果関係は認められないとして、損害は、慰謝料30万円、弁護士費用3万円のみとしたものです。

     

    必ずしも被害救済に資する判断のみではありませんが、裁判所の思考も含め、実務上参考になると思われます。

    【裁判・消費者】いわゆる美容外科(美容療法)における施術について、施術側の説明義務違反を認め施術相当額の損害賠償を命じた裁判例(大阪地裁H27・7・28)

    施術側は医療センターを開設して、口腔内から採取した細胞を培養し、これを対象部位に注入し、しわ・たるみ等を除去するスーパーセーリングと称する美容療法を宣伝・実施していたもので、原告(患者側)は140万円を超える施術費用を要した事案です。

    いわゆる美容外科(美容療法)における施術・医師側の説明義務内容の考え方・把握として参考になると思われます。

    【裁判・医療】手術により体内に医療用縫合針が残存し続けることになったことにつき、慰謝料700万円外の賠償を命じた事案(さいたま地裁H26・4・24)

    医療行為によって体内残置物が存することになった事案は複数報告され、70~500万円の慰謝料が認められていますが(判例時報2230号64頁の解説欄)、本件は先例に比し高額といわれています。もっとも、本判決(前記判例時報掲載)では、本件針が医学的には今後の移動可能性はないと判断されていますが、人体内に針が残り続ける恐怖・違和感の評価として適正妥当な金額か等の課題は残るものと思われます。

    【裁判・医療】医師の羊水検査結果の誤報告により、ダウン症児を出産し、同児が重篤な症状に苦しみ死亡することを目の当たりにせざるを得なくなった事案につき、医師らに慰謝料賠償を命じた裁判例(函館地裁H26・6・5)

    函館地裁平成26年6月5日判決(判例時報2227号104頁)は、医師側の誤報告とダウン症児の死亡には法的因果関係は認められないとしながら、親の家族設計選択の機会が奪われたこと等から、医師側に金500万円の慰謝料支払いを命じたものです。

    倫理上の考え方もあるところでありますが、慰謝料支払いを命じた点など、実務的にも参考となるものと思われます。(確定しています。)

    【裁判・民事】美容目的の脂肪溶解剤注射(メソセラピー)につき、損害賠償を命じた裁判例(東京地裁H24・10・31)

    診療所において、美容目的で脂肪溶解剤を皮膚・皮下脂肪層に注射する治療(メソセラピー)を受けた者らが、施術後に非結核性抗酸菌感染症を発症・後遺障害が残った事案につき、東京地裁は、その感染症・後遺症は、診療所側は、十分な滅菌処置をしなかったこと等によるとして、診療所側に、診療契約上の債務不履行責任等に基き、治療費、休業損害、慰謝料などの賠償を命じました(判例時報2173号45頁)。

    美容目的のこうした施術はトラブルも多く、被害救済の参考例としてアップします。

    美容・医療サービスのトラブルにつき、国民生活センターHPにも情報がまとめられています↓。

    http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/biyo.html

    岩手県宮古病院、採用予定者が医師詐称(ニュース)

    岩手県立宮古病院が勤務医としての採用予定者(女性)が、医師免許がないのに医師を詐称していたとして、宮古署は5月9日までに、医師法違反(名称の使用制限)の疑いで、同人を現行犯逮捕したとのことです。

    医師名称の詐称は金50万円以下の罰金刑ですが、詐称だけでなく、医業を行っていれば、3年以下の懲役・金200万円以下の罰金の選択或いは併科刑となります。

    これから事件の具体的手口・背景等が明らかにされるでしょうが、医師不足・医師採用システムさらには日本の医療全体ににかかわる重大な問題かも知れません。

    事件報道記事↓。

    http://www.kahoku.co.jp/news/2010/05/20100510t33019.htm