弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・弁護士法】弁護士法25条1号に違反する訴訟行為について、相手方当事者が裁判所に対し各訴訟行為の排除を申立てることができるとし、不服申立手続を判示した最高裁決定(H29・10・5)

    破産管財に関する事案で、再生申立に関与した弁護士が破産管財人からの訴えの代理人になることが弁護士法25条1号違反とするもので、また、不服申立方法等を述べるものです(金融商事判例1535号18頁)。

     

    最高裁HPにも掲載されています。

    http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87117

    【裁判・弁護士業務】自己破産申立てを受任した弁護士側に財産散逸防止義務違反に対し1270万円超の損賠賠償を命じた裁判例(千葉地裁H28・3・25)

    判例時報2337号36頁に掲載されています。

    破産管財人を原告とする訴訟で、申立人代理人が受任後申立前に、会社代表者へ高額報酬を支払ったり、会社顧客へお詫びの品を送ったりした事案で、申立代理人弁護士と同人が社員となっている弁護士法人へ各635万円超の賠償を命じたものです。控訴後和解となっています。

     

    破産債権の総額は3億3500万円超・債権者数80名超からしても当然の判断と思われますが、実務上、参考になるものと思われます。

    【裁判・民事】弁護士法23条の2第2項に基づく照会に対する照会先に報告義務あることを確認した最高裁判例(H28・10・18)

    最高裁平成28年10月18日第三小法廷判決(判例タイムズ1431号92頁)は、弁護士法23条の2第2項に基づくいわゆる弁護士法23条照会について、「23条照会の制度は、弁護士が受任している事件を処理するために必要な事実の調査等をすることを容易にするために設けられたものである。そして、23条照会を受けた公務所又は公私の団体は、正当な理由がない限り、照会された事項について報告をすべきものと解されるのであり、23条照会をすることが上記の公務所又は公私の団体の利害に重大な影響を及ぼし得ることなどに鑑み、弁護士法23条の2は、上記制度の適正な運用を図るために、照会権限を弁護士会に付与し、個々の弁護士の申出が上記制度の趣旨に照らして適切であるか否かの判断を当該弁護士会に委ねているものである。そうすると、弁護士会が23条照会の権限を付与されているのは飽くまで制度の適正な運用を図るためにすぎないのであって、23条照会に対する報告を受けることについて弁護士会が法律上保護される利益を有するものとは解されない。」と判示しました。

     

    この点、本判決は、原審が照会先の報告・回答拒否が不法行為を成立するとした点が争われていたこともあって、「当該弁護士会に対する不法行為を構成することはないというべきである。」との点が強調されることもありますが(最高裁判例も当該部分に下線部)、実務的には、上記報告義務を認めた点も重要な意義を有するものものです。

     

    裁判所HP・判決全文

    http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/198/086198_hanrei.pdf

    【裁判・消費者】債務整理を依頼された認定司法書士が、当該債務整理の対象となる債権に係る裁判外の和解について、金140万円を超えるものとして代理することができないとした最高裁判例(H28・6・27)

    最高裁は、 債務整理を依頼された認定司法書士(司法書士法3条2項各号のいずれにも該当する司法書士)は、当該債務整理の対象となる個別の債権の価額が金140万円(司法書士法3条1項7号に規定する額)を超える場合にはその債権に係る裁判外の和解について代理することができないことを明確にしました(判例時報2311号16頁、判例タイムズ1428号25頁)。

    各種論評等ありますが、弁護士法72条違反は公序良俗違反・無効を構成するものであり(最高裁昭和38年6月13日・民集17巻5号744頁)、近時の下記名古屋高裁平成27年11月25日判決(判例時報2310号90頁)など下級審裁判例もこうじた流れを踏まえたものであり、最高裁平成28年6月27日判決は、職務権限を越える司法書士の受任は、結局、消費者への不利益・負担となりうることを示したものでもあると思われます。判決文は下記のとおりです。

     

    判決文・最高裁HP

    http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85969

     

    名古屋高裁平成27年11月25日判決(判例時報2310号90頁)

    140万円を超えるいわゆる過払金返還請求について、司法書士を代理人とする和解契約が弁護士法72条に違反し無効とされ、債務者の業者に対する無効主張も信義則に反しないとする裁判例(名古屋高裁H27・11・25)

    【裁判・民事】個人の顧問業務につき、弁護士法72条・公序良俗違反とする裁判例(東京地裁H27・1・19)

    弁護士・医師等の専門業務について無資格者が業務を行って金員を取得する行為が散見されます。本件は無資格者が「あたかも弁護士以上の能力を有しているかのように振る舞って本件顧問契約を締結させ」たものとして、弁護士のみが法律委任事務・有償を行い得るとする弁護士法72条はもとより公序良俗に反するものとして、顧問契約等を無効として、無資格者へ金482万円超の返金を命じました(東京地裁平成27年1月19日・判例時報2257号65頁)。

    弁護士業務のあり方等も含め、種々の問題を提起する面もあろうかとは思いますが、まずは弁護士法違反行為の法的解決事案として参考になるかと思われます。