【裁判・民事】弁護士法23条の2第2項に基づく照会に対する照会先に報告義務あることを確認した最高裁判例(H28・10・18)
最高裁平成28年10月18日第三小法廷判決(判例タイムズ1431号92頁)は、弁護士法23条の2第2項に基づくいわゆる弁護士法23条照会について、「23条照会の制度は、弁護士が受任している事件を処理するために必要な事実の調査等をすることを容易にするために設けられたものである。そして、23条照会を受けた公務所又は公私の団体は、正当な理由がない限り、照会された事項について報告をすべきものと解されるのであり、23条照会をすることが上記の公務所又は公私の団体の利害に重大な影響を及ぼし得ることなどに鑑み、弁護士法23条の2は、上記制度の適正な運用を図るために、照会権限を弁護士会に付与し、個々の弁護士の申出が上記制度の趣旨に照らして適切であるか否かの判断を当該弁護士会に委ねているものである。そうすると、弁護士会が23条照会の権限を付与されているのは飽くまで制度の適正な運用を図るためにすぎないのであって、23条照会に対する報告を受けることについて弁護士会が法律上保護される利益を有するものとは解されない。」と判示しました。
この点、本判決は、原審が照会先の報告・回答拒否が不法行為を成立するとした点が争われていたこともあって、「当該弁護士会に対する不法行為を構成することはないというべきである。」との点が強調されることもありますが(最高裁判例も当該部分に下線部)、実務的には、上記報告義務を認めた点も重要な意義を有するものものです。
裁判所HP・判決全文
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