弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・建築】幼稚園建築にあたって打設された杭が支持層に到達していないとして5億円超の損害賠償を認めた事例(松江地判H28・3・31)

    判例時報2347号99頁に掲載されており、控訴後和解となったようです。

    いわゆる横浜マンション傾斜問題などもあり、被害救済に参考になるものです。

    最判平成19年7月6日を引用し、直接契約関係にない元請から孫請に責任追及できるとしている点も参考になります。

    【裁判・統計】裁判の迅速化に係る検証結果の公表(第7回)について(裁判所ホームページ掲載)

    平成29年7月に公表されたものですが、「迅速化」の標題とは別に、1審に要する期間や人証(尋問)の実施率など、「司法統計」として参考になるかと思います。

    公表資料は、裁判所HPからダウンロードできます。

    http://www.courts.go.jp/about/siryo/hokoku_07_about/index.html

    また、判例タイムズ1440号5頁以下にも掲載されています。

     

    以下、何点か、参考事項です。


    【全体について】


    〇 民事第一審訴訟の新受件数は、14万8295件(うち4万7352件が過払金訴訟)(平成28年)

    〇 民事第一審訴訟の新受件数は、過払金訴訟を除けば、ここ10年間、ほぼ9~10万件で推移している。

    〇 民事第一審訴訟の平均審理期間は、8.6カ月(平成28年。過払金訴訟を除いても8.8カ月)

    〇 人証調べ実施率は、14.6%、平均人証数は0.4(過払金訴訟以外では16.6%、0.4)


    【建築関係について】


    〇 建築関係訴訟の新受件数は、1969件(過払金訴訟除く全体の約2%)で、請負代金訴訟が1498件、建築瑕疵損害賠償訴訟が471件(平成28年)

    〇 建築関係訴訟の平均審理期間は、18.8カ月で、請負代金訴訟が12.8カ月、建築瑕疵損害賠償訴訟(瑕疵主張あり)が24.3カ月(平成28年のまとめ)

    〇 鑑定の実施率は、請負代金訴訟が0.4%、建築瑕疵損害賠償訴訟が2.3%(なお、民事第一審全体は0.5%)

    〇 瑕疵主張ありの事案で付調停となると、平均審理期間は30・0カ月(瑕疵主張なしでも26・2カ月)

    【裁判・建築】竣工から16年経過後に発覚した漏水事故について、建物(マンション)施工業者の法的責任を認め賠償を命じた裁判例(東京地裁H26・12・15)

    REITO105号86頁に掲載されています。

    請求者(原告)との間に契約関係はない事案で、時間的問題の参考になりますし、最高裁平成19年7月6日判決、平成27年7月27日判決の適用例といえるものです。

    【お知らせ】市民向け住宅取得・欠陥被害予防セミナー「安心住まいるナビゲート ~弁護士と建築士による寸劇と解説を通じて」(H27・10・17(土)13:00~)のご案内

    欠陥住宅東北ネット主催で開催します。

    内容・申込方法は下記のとおりです。寸劇を交え重要ポイントを詳しく解説しますので、是非、ご参加ください!
    東北ネットHP http://kekkan-jutaku.net/
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    住宅取得・リフォームを考えている皆さまへ!

    30分×5寸劇・解説+1の「これだけは!!」

    欠陥住宅の予防・被害救済に取り組む欠陥住宅東北ネットによる

    「安心住まいるナビゲート

    ~弁護士と建築士による寸劇と解説を通じて」

    日時 10月17日(土)13:00~(16:30終了予定)

    場所 仙台弁護士会館4階大ホール

    仙台市青葉区一番町2-9-18(地図裏面)

    参加 資料・会場代300円(会員無料)

    ※ 当日参加歓迎ですが可能なら事前予約をお願いします

    【今回のテーマ】

    1 新築請負(土地選び)

    2 新築売買

    3 中古売買

    4 マンション購入

    5 リフォーム

    + まとめ

    重要事項説明書って? 契約書のどこに注意すればいい?

    建物のどこをチェックすればいい? 戸建・マンションどちらがいい?

    などなど、多数の疑問・相談を受けてきた、欠陥住宅被害救済に取り組んできた専門家だからこそ指摘できる住宅取得・リフォーム前に知っておくべき「これだけは!」を寸劇とともに分かりやすくお伝えします!

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    連絡先 事務局 千葉晃平法律事務所 電話022-713-7791

    ※ 申込方法 → 下記申込書(FAX・郵送いずれも可)或いはメール(kc-law@bloom.ocn.ne.jp)に下記事項を記載の上、お申し込み下さい。

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    ★ 申込書(切り取り不要です)・・・FAX・郵送・メールいずれでも結構です ★

    千葉晃平法律事務所 宛

    (FAX 022-713-7792)

    (住 所 〒980-0812 仙台市青葉区片平1-2-38-605)

    (メール kc-law@bloom.ocn.ne.jp)

    「安心住まいるナビゲート

    ~弁護士と建築士による寸劇と解説を通じて」

    日時 10月17日(土)13:00~(16:30終了予定)

    に申し込みます。

    平成27年

    住所

    氏名

    連絡先 (電話番号:任意)

    (ファクス:任意)

    (メール:任意) 

    【裁判・民事】分譲マンションの売主の、隣接マンション建設予定の説明義務の違反を認めた裁判例(大阪高裁H26・1・23)

    大阪高裁平成26年1月23日(判例時報2261号148頁)は、分譲マンションの売主が、自ら隣接地にマンションを建設予定であったことについて、(購入者らにとって)「マンションを購入するか否かを検討するに当たって極めて重要な情報」であったにも関わらず、これによる日照被害等の説明を怠ったものとして、売主に賠償を命じました(各10~20万円)。

    同一業者による隣接地マンション販売については、『眺望二度売り』などとして事後のマンション建築が差し止められた仮処分裁判例もあります(仙台地裁平成7年8月24日・判例時報1564号105頁)。
    いずれも、マンション販売に係る業者・売主側の注意義務を把握し、被害予防救済に役立つ判断と思われます。

    【裁判・建築】建築基準法の中高層建築物の日影規制につき、緩和措置を適用する解釈として、いわゆる閉鎖方式を採用し、発散方式に基づく建築確認を違法とする裁判例(さいたま地裁H26・3・19)

    発散方式は敷地境界線上の任意の点から放射状に任意の線を延ばす方法であり、閉鎖方式は敷地境界線をそのまま道路側に直交方向に延ばす方法といわれます。

    さいたま地裁平成26年3月19日判決は、建築基準法56条の2、同施行令135条の12第1項1号の「幅」「敷地」という文言等を踏まえ、法令上の解釈として閉鎖方式をとるべきとして、指定確認検査機関の行った建築確認処分を取り消しました(控訴されています)。

     

    事案として参考になるとともに、建築法規の解釈手法としても参考になるものです。

    【裁判・建築】宅地造成事業により造成された道路・宅地の陥没につき、市の国賠法2条に基づく責任及び土地販売業者の説明義務違反が認められた事案(津地裁平成26年3月6日判決)

    津地裁平成26年3月6日判決(判例時報2229号50頁)は、市は、当該道路には公の営造物たる道路して通常有すべき安全性を欠くものでありその管理に瑕疵があったとして、新たな土地購入代金・建築工事費用等の約2285万円を、土地販売業者には宅建業者として開発許可に付された許可条件の内容を説明せず本件土地が磨き砂の採掘跡地であることを説明しなかった義務違反があるとして、実質上の土地代金相当損害金として金645万円を、それぞれ賠償を命じたものです。

     

    控訴されていますが、市の責任・業者の責任とも近時の裁判例の流れに沿うものとして、実務上も参考になるものと思われます。

    【裁判・民事】売買目的物が建築基準法違反・都市計画法違反状態であることにつき、売主(各申請手続実行者・宅地建物取引業者)に調査説明義務違反を認め、排水施設設置費用等の賠償を命じたもの(東京地裁H26・3・26)

    給油所として使用されている物件に関する売買であり、建築基準法違反・都市計画法違反状態であることにつき、売主(各申請手続実行者・宅地建物取引業者)に調査説明義務違反を認め、(1)排水施設設置費用870万4500円、(2)変更許可申請等費用125万円に過失相殺3割とし、(3)弁護士費用70万円の合計766万8150円の賠償を命じたものです(東京地裁平成26年3月26日判決・判例時報2243号56頁)。

     

    過失相殺がなされているの、複数の給油所経営を行っている買主の属性等による特殊な事情によるものと理解されます。

    【裁判・建築】宅地売買において、宅地が地下水集中地盤で、地表から0.5メートルの地下水位から地下水が湧き出ていることは、土地瑕疵として、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求が認められた裁判例(名古屋地判平成25年4月26日)

    名古屋地裁平成25年4月26日(判例時報2205号74頁)は、「地下水が浅い位置にある場合、建物の基礎として直接基礎を採用できず、地盤改良をしても効果が期待できない上、一般的な地盤改良方法である柱状改良工法を用いても、流し込んだセメントが湧水層に流出してしまうため地盤改良の効果がないから、鋼管杭による杭地業工事でもって地盤改良をする必要がある。」との判断を示して、「瑕疵」の存在を認めました(控訴審で和解)。

     

    土地売買の瑕疵担保責任が認められた事案として、東京地判平成23年1月20日(判例時報2111号48頁)などがありますが、本件は、宅地・地盤につき、地表面の水位が問題とされた事案として、実務上も参考になると思われます。

    【裁判・建築】新築住宅の雨漏りに等について、請負人に設置上の瑕疵があるとされ、住宅品質確保法94条の請負人担保責任の特例が適用された裁判例(東京高裁H25・5・8)

    新築住宅について、木製窓・木製サッシを設置後、雨漏り等により内部に雨水が浸入し、窓に腐蝕や変色等が生じた事案において、請負人に設置上の瑕疵があるとして、金244万円余の賠償を命じた事案です(判例時報2196号12頁)。

    この事案では、請求者の権利行使期間(除斥期間)の経過も争点とされましたが、東京高裁は、当該瑕疵は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)94条1項の「雨水の浸入を防止する部分」にあたるとして、10年間の権利行使を認めました。

    品確法94条(瑕疵担保期間を10年とする規定)の事例に関する裁判例は多くはなく参考までにアップします。