弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・相続】遺言能力が欠如していたとして公正証書遺言を無効とした裁判例(大阪高裁H30・6・28)

    判例タイムズ1458号159頁に掲載されています(確定)。

    弁護士立会のもと作成されたもので、1審(神戸地裁伊丹支部平成29年12月25日)では有効とされたもので、遺言者が遺言内容を理解することは困難であったとしたものです。

    【裁判・労働】使用者と労働組合との間の合意により組合員の未払賃金債権が放棄されたとはいえないとする最高裁判例(H31・4・25)

    判例タイムズ1461号17頁に掲載されています。

    原審は(大阪高裁平成29年7月14日)は放棄を認め、また、労働組合法の規定からは、議論もわかれるところかもしれませんが、近時の最高裁の考え方を理解する意味でも参考となるものです。

    【裁判・労働】妊娠・出産による不利益取扱い等について違法として地位確認等を認めた裁判例(東京地裁H30・7・5)

    労働判例1200号48頁に掲載されています(確定)。

    育児介護休業法の趣旨や視点から、労働者側の同意等を慎重に判断すべきことが述べられるなど、実務上も参考となると思われます。

    【裁判・家族】養親から相続財産全部の包括遺贈を受けたとしても、養親と別の子との養子縁組の無効の訴えを提起するについて法律上の利益を有するとはいえないとする最高裁判例(H31・3・5)

    判例タイムズ1460号39頁に掲載されています。

    当該事案として参考になるほか、家族法における法律上の利益の関係の視点としても参考になろうかと思われます。

    【裁判・行政】生活保護受給中に外国への渡航費用を支出した者に対する保護費返還(法63条)及び徴取決定(法78条)を違法とした裁判例(東京地裁H29・4・27)

    判例タイムズ1456号151頁以下に掲載されています。

    東京地裁は、離婚後に外国で暮らす元妻・子どもとの交流のため年に1、2回程度渡航していたこととその費用支出について、最低限度の生活維持という観点から相当なものとして、行政の判断(決定)を取り消したものです。最高裁まで争われたようですが、東京地裁の判断が維持され確定したとのことです。

     

    その時代や社会実態に応じ最低限度の生活の内容も変化するものであることや生活保護のあり方を考えるうえでも参考になるものです。

    【裁判・刑事】弁護人等から保護室収容の未決拘禁者との面会申出があった場合に、未決拘禁者にそれを告げないまま、保護室収容を理由に面会を許さなかったことに違法はないとした高裁判決を破棄した最高裁判決(平成30年10月25日)

    判例タイムズ1456号57頁以下に掲載されています。

    最高裁は、「刑事施設の長は、未決拘禁者が刑事収容施設法79条1項2号に該当するとして保護室に収容されている場合において面会の申出が弁護人等からあったときは、未決拘禁者が極度の興奮による錯乱状態にある場合のように、精神的に著しく不安定であることなどにより上記申出があった事実を告げられても依然として同号に該当することとなることが明らかな場合を除き、直ちに未決拘禁者に同事実を告げなければならず、これに対する未決拘禁者の反応等を確認した上で、それでもなお未決拘禁者が同号に該当するか否かを判断し、同号に該当しない場合には、同条4項により直ちに保護室への収容を中止させて刑事収容施設法115条等により未決拘禁者と弁護人等との面会を許さなければならないというべきである。」「刑事収容施設法79条1項2号に該当するとして保護室に収容されている未決拘禁者との面会の申出が弁護人等からあった場合に、その申出があった事実を未決拘禁者に告げないまま、保護室に収容中であることを理由として面会を許さない刑事施設の長の措置は、未決拘禁者が精神的に著しく不安定であることなどにより同事実を告げられても依然として同号に該当することとなることが明らかであるといえる特段の事情がない限り、未決拘禁者及び弁護人等の接見交通権を侵害するものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法となると解するのが相当である。」として福岡高裁平成28年3月7日判決を破棄し差戻としたものです。

     

    本件事案のみならず弁護人の接見交通権の重要性を示すものとして実務上も参考になるものです。

    【裁判・民事】土地・建物の売買において、売主・媒介業者の当該土地の一部が国有地であったことの調査・説明義務違反を認めた裁判例(東京地裁H29・12・7)

    REITO113号146頁に要旨が掲載されています。

    損害としては、国有地取得費用43万円余と弁護士費用4万円です。

    不動産売買における売主・媒介業者の調査・説明義務の例として参考となるものです。

    【裁判・民事】バドミントンダブルスにおいて、後衛の者の振ったラケットが前衛の者の左眼にあたって負傷させたことにつき、後衛の者に対し1300万円を超える賠償を命じた裁判例(東京高裁H30・9・12)

    判例時報2402号23頁に掲載されています(確定)。

    1審も後衛の者の責任を認めましたが前衛の者に6割程度の賠償を命じていましたが、東京高裁は減額等をしなかったものです。スポーツ事故の賠償の考え方など実務上も留意すべきものと思われます。

    【裁判・民事】原告(本人)が訴訟能力を欠いていたとして、民事訴訟法69条2項、70条を適用して、訴訟代理人(弁護士)に訴訟費用の負担を命じた裁判例(さいたま地裁H30・7・31)

    判例タイムズ1457号190頁に掲載されています(確定)。

    主文、関連条文は以下のとおりです。負担額は不明で高額ではないと思われますが、実務的にも珍しい事案です。

     

    (判決主文)

    1 本件訴えを却下する。

    2 訴訟費用は原告訴訟代理人Aの負担とする。

     

    (法定代理人等の費用償還)

    第六十九条 法定代理人、訴訟代理人、裁判所書記官又は執行官が故意又は重大な過失によって無益な訴訟費用を生じさせたときは、受訴裁判所は、申立てにより又は職権で、これらの者に対し、その費用額の償還を命ずることができる。

    2 前項の規定は、法定代理人又は訴訟代理人として訴訟行為をした者が、その代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権があることを証明することができず、かつ、追認を得ることができなかった場合において、その訴訟行為によって生じた訴訟費用について準用する。

    3 第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

    (無権代理人の費用負担)

    第七十条 前条第二項に規定する場合において、裁判所が訴えを却下したときは、訴訟費用は、代理人として訴訟行為をした者の負担とする。

    【裁判・民事】違法な投資勧誘行為者に事務所を使用させた行為は不法行為の幇助(共同不法行為)にあたるとして賠償を命じた裁判例(東京高判H29・12・20)

    判例時報2384号20頁に掲載されています(確定)。

    電話機、金員受領場所や信頼させるために事務所設置等々、いわゆる犯罪助長ツールがなければ詐欺的行為も実行されないことや提供の実態等から、こうした関与者の法的責任は厳しく問われるべきもので、被害救済に大いに参考となるものです。