弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・刑事】弁護人等から保護室収容の未決拘禁者との面会申出があった場合に、未決拘禁者にそれを告げないまま、保護室収容を理由に面会を許さなかったことに違法はないとした高裁判決を破棄した最高裁判決(平成30年10月25日)
  • 【裁判・刑事】弁護人等から保護室収容の未決拘禁者との面会申出があった場合に、未決拘禁者にそれを告げないまま、保護室収容を理由に面会を許さなかったことに違法はないとした高裁判決を破棄した最高裁判決(平成30年10月25日)

    判例タイムズ1456号57頁以下に掲載されています。

    最高裁は、「刑事施設の長は、未決拘禁者が刑事収容施設法79条1項2号に該当するとして保護室に収容されている場合において面会の申出が弁護人等からあったときは、未決拘禁者が極度の興奮による錯乱状態にある場合のように、精神的に著しく不安定であることなどにより上記申出があった事実を告げられても依然として同号に該当することとなることが明らかな場合を除き、直ちに未決拘禁者に同事実を告げなければならず、これに対する未決拘禁者の反応等を確認した上で、それでもなお未決拘禁者が同号に該当するか否かを判断し、同号に該当しない場合には、同条4項により直ちに保護室への収容を中止させて刑事収容施設法115条等により未決拘禁者と弁護人等との面会を許さなければならないというべきである。」「刑事収容施設法79条1項2号に該当するとして保護室に収容されている未決拘禁者との面会の申出が弁護人等からあった場合に、その申出があった事実を未決拘禁者に告げないまま、保護室に収容中であることを理由として面会を許さない刑事施設の長の措置は、未決拘禁者が精神的に著しく不安定であることなどにより同事実を告げられても依然として同号に該当することとなることが明らかであるといえる特段の事情がない限り、未決拘禁者及び弁護人等の接見交通権を侵害するものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法となると解するのが相当である。」として福岡高裁平成28年3月7日判決を破棄し差戻としたものです。

     

    本件事案のみならず弁護人の接見交通権の重要性を示すものとして実務上も参考になるものです。