弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・行政】建築基準基準法42条1項3号の道路該当性を不明としながら建築可能として固定資産評価を行った高裁判断を違法とした最高裁判例(H30・7・17)
  • 【裁判・行政】建築基準基準法42条1項3号の道路該当性を不明としながら建築可能として固定資産評価を行った高裁判断を違法とした最高裁判例(H30・7・17)

    判例地方自治439号26頁に掲載されています。

     

    最高裁平成30年7月17日は、「建築基準法42条1項3号は、同法第3章の規定が適用されるに至った際現に存在する道で、幅員4m以上のものを道路とする旨定めている。これは、客観的にこれらの要件を満たす道については、そのことのみをもって当然に42条道路とする趣旨であると解される。そして、ある道が3号道路に該当するか否かについて、市町村長等がその判定をする法令上の根拠も見当たらない。」「そうすると、3号道路該当性に関する京都市長の道路判定は、事実上の確認行為にすぎないというべきであり、当該道が3号道路に該当し、又は該当しないことを確定する効果を持つ行政処分の性質を有するものではないと解される。」としたうえ、「被上告人においては、道路判定の内容が道路縦覧図に表示され、建築確認に際しては、その運用上、上記の表示等をも参照して、当該道が3号道路に該当するか否かの判断がされていることがうかがわれるが、上記のような道路判定の性質に照らせば、当該道の3号道路該当性につき、建築主事等が道路判定と異なる判断をすることを妨げられるものではない。そして、本件街路が3号道路に該当するか否かは、昭和25年11月23日時点で本件街路が幅員4m以上の道として存在した事実が客観的に認められるか否かにより定まる以上、このような事実が認められず、本件街路が3号道路に該当するということができない場合には、本件道路判定がされていても、建築主事等は、本件各土地が3号道路に接していることを前提とした建築確認をすることはできない。」と述べ、「したがって、本件街路が3号道路に該当するための要件を満たすか否かは明らかでないとしながら、本件道路判定がされていること等を理由に、建築確認を受けることができないために本件各土地上に建築物を建築することができない事態となる可能性はないとして、本件街路が3号道路に該当することを前提とする本件登録価格の決定は適法であるとした原審の判断には、固定資産の評価等に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。」と判示しました(原審へ差戻)。

     

     安易に行政判断を基礎に判断することへの警鐘ともいえ、実務上も参考となる考え方と思われます。