弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・年金】遺族補償年金等の受給資格につき、男女の別により支給要件が異なる規定を憲法14条に違反・無効として、夫への不支給決定を取り消した裁判例(大阪地裁H25・11・25)
  • 【裁判・年金】遺族補償年金等の受給資格につき、男女の別により支給要件が異なる規定を憲法14条に違反・無効として、夫への不支給決定を取り消した裁判例(大阪地裁H25・11・25)

    大阪地裁平成25年11月25日(労働判例1088号32頁、判例時報2216号122頁)は、地公法32条1項ただし書きが、遺族補償年金の受給要件として、配偶者のうち夫についてのみ年齢要件を付加している点につき、種々検討を重ね、「地公災法の立法当時、遺族補償年金の受給権者の範囲を画するに当たって採用された本件区別は、女性が男性と同様に就業することが相当困難であるため一般的な家庭モデルが専業主婦世帯であった立法当時には、一定の合理性を有していたといえるものの、女性の社会進出が進み、男性と比べれば依然不利な状況にあるとはいうものの、相応の就業の機会を得ることができるようになった結果、専業主婦世帯の数と共働き世帯の数が逆転し、共働き世帯が一般的な家庭モデルとなっている今日においては、配偶者の性別において受給権の有無を分けるような差別的取扱いはもはや立法目的との間に合理的関連性を有しないというべきであり、原告のその余の主張について判断するまでもなく、遺族補償年金の第一順位の受給権者である配偶者のうち、夫についてのみ60歳以上(当分の間55歳以上)との本件年齢要件を定める地公災法32条1項ただし書及び同法附則7条の2第2項の規定は、憲法14条1項に違反する不合理な差別的取扱いとして違憲・無効であるといわざるを得ない。」と判示しました。

     

    本件は控訴されていますが、個別具体的な事案における不合理な理論・結論を救済する意義ある判示と思われます。