【裁判・相続】死亡保険金の受取人指定が「法定相続人」とされた場合に、1名が相続を放棄したときにも、他の者の受け取りは増えないとする裁判例(大阪高裁H27・4・23)
大阪高裁平成27年4月23日判決(金融・商事判例1481号14頁・要旨)は、最高裁平成6年7月18日判決(判例時報1511号138頁、判例タイムズ863号139頁、金融・商事判例958号3頁)が保険契約において、保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合は、特段の事情のない限り、右指定には、相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれているものと解するのが相当である。けだし、保険金受取人を単に「相続人」と指定する趣旨は、保険事故発生時までに被保険者の相続人となるべき者に変動が生ずる場合にも、保険金受取人の変更手続をすることなく、保険事故発生時において相続人である者を保険金受取人と定めることにあるとともに、右指定には相続人に対してその相続分の割合により保険金を取得させる趣旨も含まれているものと解するのが、保険契約者の通常の意思に合致し、かつ、合理的であると考えられるからである。したがって、保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合に、数人の相続人がいるときは、特段の事情のない限り、民法四二七条にいう「別段ノ意思表示」である相続分の割合によって権利を有するという指定があったものと解すべきであるから、各保険金受取人の有する権利の割合は、相続分の割合になるものというべきである。」と述べていることを参照し、共同相続人が相続放棄しても、他の共同相続人に放棄者の保険金請求権が帰属するものではないと判示しました。
上告・上告受理申立てがなされていますが平成6年最判の実務上の扱い等の参考になろうかと思われます。
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