弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・民事】自動車売買につき、所有権留保・販売会社名義の登録がされて、保証人が弁済した後、自動車買主の破産手続開始となった場合、その時点で販売会社名義の登録があれば、保証人は別除権行使ができるとする最高裁判例(H29・12・7)
  • 【裁判・民事】自動車売買につき、所有権留保・販売会社名義の登録がされて、保証人が弁済した後、自動車買主の破産手続開始となった場合、その時点で販売会社名義の登録があれば、保証人は別除権行使ができるとする最高裁判例(H29・12・7)

    最高裁平成29年12月12日(最高裁HP、金融・商事判例1533号36頁)は、「自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ、売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後、購入者の破産手続が開始した場合において、その開始の時点で当該自動車につき販売会社を所有者とする登録がされているときは、保証人は、上記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使することができるものと解するのが相当である。」「その理由は、以下のとおりである。保証人は、主債務である売買代金債務の弁済をするについて正当な利益を有しており、代位弁済によって購入者に対して取得する求償権を確保するために、弁済によって消滅するはずの販売会社の購入者に対する売買代金債権及びこれを担保するため留保された所有権(以下「留保所有権」という。)を法律上当然に取得し、求償権の範囲内で売買代金債権及び留保所有権を行使することが認められている(民法500条、501条)。そして、購入者の破産手続開始の時点において販売会社を所有者とする登録がされている自動車については、所有権が留保されていることは予測し得るというべきであるから、留保所有権の存在を前提として破産財団が構成されることによって、破産債権者に対する不測の影響が生ずることはない。そうすると、保証人は、自動車につき保証人を所有者とする登録なくして、販売会社から法定代位により取得した留保所有権を別除権として行使することができるものというべきである。」と判示しました。

     

    破産関係の実務においてよく見られる事案であり、重要な判断と思われます。