【裁判・労働】労働者の懲戒解雇無効等の本訴に対し、使用者(個人病院経営者)が行った反訴を違法とし、慰謝料20万円の支払いを命じた裁判例(横浜地裁H30・8・23)
労働判例1201号68頁に掲載されています(控訴があったようですが控訴棄却となったようです)。
懲戒解雇は無効とされています。訴訟(反訴)提起が相手方との関係で違法とされるのは、最判昭和63年1月26日(判例タイムズ671号119頁、判例時報800号3頁)で述べられた「
民事訴訟を提起した者が敗訴の確定判決を受けた場合において、右訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係(以下「権利等」という。)が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である。けだし、訴えを提起する際に、提訴者において、自己の主張しようとする権利等の事実的、法律的根拠につき、高度の調査、検討が要請されるものと解するならば、裁判制度の自由な利用が著しく阻害される結果となり妥当でないからである。」が規範とされますが、本件はこれにあたるとされたものです。
上記規範に該当するとされる事例は多くないなか、使用者による圧力・威迫的提訴に対する救済例として参考になるものです。
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