弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・民事】銀行の、預金名義人の代理人と称するものへの払い出しにつき本人意思確認に過失があるとして銀行に対する損害賠償を命じた裁判例(神戸地裁尼崎支部H26・5・21)
  • 【裁判・民事】銀行の、預金名義人の代理人と称するものへの払い出しにつき本人意思確認に過失があるとして銀行に対する損害賠償を命じた裁判例(神戸地裁尼崎支部H26・5・21)

    本人の保佐人が提起した事案です。銀行は、代理人と称するものから、本人が脳梗塞のため字が書けないから病院にきてほしいと言われ、病院には言ったものの、医師等の面談・確認はおこなわず、代理人の面前で頷く本人の様子から、預金の殆どを代理人と称するものに払い出し・交付してしまった事案です。神戸地裁尼崎支判平成26年5月21日(金融・商事判例1446号44頁)は、医師等への確認を行っていないこと、預金の殆どであること、代理人と本人との間に血縁関係がないこと等から、銀行側の本人意思確認は不十分であるとして、不法行為上の義務違反を認めたものです(なお、控訴されています)。

    銀行の無権限者らへの払い出しは有効・免責とされがちですが(最高裁平成46年6月10日・民集25巻4号492頁等)、成年後見制度、本人確認の重要性等の制度・認識が広まっている現代においては、金融機関側の取るべき措置・対応(注意義務内容)も相当程度高度化すべきものと思われます。