訴訟遅延目的の貸金業者の控訴に対し制裁金納付が命じられた事例(大阪地裁H23・1・14判決)
大阪地裁H23・1・14判決(判時2117号44頁)は、いわゆる過払金訴訟の事案で、貸金業者が控訴した事案につき、貸金業者の控訴は訴訟遅延のみを目的とするものであり、控訴権の濫用として、控訴権の濫用に対する制裁規定(民事訴訟法302条)に基づき、貸金業者側に金3万円の国庫納付を命じました。
珍しい事案ですが、貸金業者の不当な応訴態度に対し、司法権を担う裁判所として正しい判断を示されたものであり、参考になると思われます。
※ 民事訴訟法303条(控訴権の濫用に対する制裁)
1 控訴裁判所は、前条第一項の規定により控訴を棄却する場合において、控訴人が訴訟の完結を遅延させることのみを目的として控訴を提起したものと認めるときは、控訴人に対し、控訴の提起の手数料として納付すべき金額の十倍以下の金銭の納付を命ずることができる。
2 前項の規定による裁判は、判決の主文に掲げなければならない。
3 第一項の規定による裁判は、本案判決を変更する判決の言渡しにより、その効力を失う。
4 上告裁判所は、上告を棄却する場合においても、第一項の規定による裁判を変更することができる。
5 第百八十九条の規定は、第一項の規定による裁判について準用する。
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