弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 情報公開請求に対する不存在を理由とする非開示処分が違法であるとして慰謝料支払いが命じられた事案(東京高裁H23・6・15)
  • 情報公開請求に対する不存在を理由とする非開示処分が違法であるとして慰謝料支払いが命じられた事案(東京高裁H23・6・15)

    「区長、議長車のガソリン代の請求書(ガソリン会社)の写し、又はガソリン会社からの明細書(1回又は何リットル入れたか分か物)」などと記載され情報公開請求がなされたことに対し、渋谷区が、給油日、伝票№、車番、商品№、商品名、数量、単価等の記載された文書を保有しながら、区長車・議長車毎の区分をしていなかったことから「当該文書については、不存在」として非開示処分を行ったことにつき、東京高裁は「区長車及び議長車の車両番号が記載された本件内訳書及び納品書が存在するにもかかわらず、渋谷区長において、本件公文書は存在しないととの理由で本件非開示処分を行ったことについては、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたとは到底認め難い。」と判示し、渋谷区に対し慰謝料金10万円の支払いを命じました(判例地方自治350号9頁)。

    情報公開請求が、市民の基礎的権利であることに鑑みれば当然の判断と思われますが、他方、情報を隠したがる行政側の体質を端的に示す事例でもあります。本件のみが特殊事案ではないことに留意し、引き続き、行政側へきちんとした対応を求め、また市民の立場から行政側の対応をチェックしていく必要があるでしょう。