派遣契約中途解約による派遣元・先企業の共同不法行為責任を認めた裁判例(名古屋地裁H23・11・2)
派遣先企業(三菱電機)の派遣契約中途解約につき、「派遣先事業者が、派遣労働者を受け入れ、自社において就業させるについては、労働者派遣法上の規制を遵守するとともに、その指揮命令下に労働させることにより形成される社会的接触関係に基づいて派遣労働者に対し信義誠実の原則に則って対応すべき条理上の義務があり、ただでさえ雇用の継続性において不安定な地位に置かれている派遣労働者に対し、その勤労生活を著しく脅かすような著しく信義にもとる行為が行われるときには、不法行為責任を負うと解するのが相当である。」との規範(基準)を示したうえ、「しかして、上記一連の経過の中での被告三菱電機による原告らに関わる労働者派遣契約の途中解約は、いかに同被告が法的に原告らの雇用主の地位にはないといえ、著しく信義にもとるものであって、ただでさえ不安定な地位にある派遣労働者の勤労生活を著しく脅かすものであ」るとして、派遣元企業との共同不法行為責任を認め、損害賠償(慰謝料・弁護士費用)を命じました(労働判例1040号5頁)。
派遣法・そのシステムは、労働者の生活そのもの極めて不安定・侵害するようなシステムを生み出しており、被害救済の場面でも困難さをうみだしていますが、本判決は、そのような現状にあって、派遣労働者の被害救済にむけた実務的(取り組み・法律構成)に参考になるものと思われます。そもそもの問題は派遣法・そのシステムにあるものですから、撤廃・是正が必要です。
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