弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
  • HOME
  • >
  • 不動産
  • >
  • 競売物件につき建物再築不可の場合に、配当受けた債権者に対する代金返還請求が認められた事例(名古屋高裁H23・2・17)
  • 競売物件につき建物再築不可の場合に、配当受けた債権者に対する代金返還請求が認められた事例(名古屋高裁H23・2・17)

    担保権の実行としての不動産競売事件において、当該物件(土地・建物)を買い受けたところ、条例の規制により、当該物件(建物)の再築(取り壊して新しい建物の建築すること)ができなかった事案で、買受人から、不動産競売事件で配当を受けた債権者に対する配当金の一部返還請求を認めたものです。返還を認めた金額は金220万円のようで、当該規制がはじめからわかっていれば、金220万円ほど売却代金は低かったとの判断で、法的には、民法568条、566条を類推適用しています。上告・上告受理申立てがなされているようです。

    ・ 掲載紙 判例時報2145号42頁

    ・ 関連条文 

    民法568条(強制競売における担保責任)
    1項 強制競売における買受人は、第五百六十一条から前条までの規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる。 
    2項 前項の場合において、債務者が無資力であるときは、買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することができる。
    3項 前二項の場合において、債務者が物若しくは権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、又は債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に対し、損害賠償の請求をすることができる。
     
    民負う566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
    1項 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
    2項 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
    3項 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。