弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【民事・家族】審判に基づく子どもの引き渡し(強制執行)は困難であるとしながら、監護権者を定めて子どもの引き渡しを命じることが相当とされた裁判例(東京高裁H24・6・6決定)
  • 【民事・家族】審判に基づく子どもの引き渡し(強制執行)は困難であるとしながら、監護権者を定めて子どもの引き渡しを命じることが相当とされた裁判例(東京高裁H24・6・6決定)

    妻が子ども(9歳、5歳)と同居していたところ、夫が子どもを奪取した事案で、妻から子どもの引き渡し審判が申し立てられた事案です。子どもの意向等を踏まえ、夫のもとから強制的に子どもを引き離すことはできないとし強制執行が不能であるとことを認める一方、妻を監護権者と定めて夫に対し子どもの引き渡しを命じたものです(判例時報2152号44頁)。

    法的問題点としては、強制執行が不能であれば、子どもの引き渡しを命じる意味はないのではないかという点にありますが、子の福祉の観点等から、上記決定を相当としています。親族関係を扱う家庭裁判所にはこうした紛争に踏み込んで解決案(判断)を示すことが求められていること、法的正義を示すこと、違法行為の放置を避けること等から意味ある判断と思われます。