弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【民事・裁判】美術品(陶磁器・絵画)が贋作であった売買において、契約無効と売主(美術商)の責任が認められた裁判例(東京地裁H24・7・26)
  • 【民事・裁判】美術品(陶磁器・絵画)が贋作であった売買において、契約無効と売主(美術商)の責任が認められた裁判例(東京地裁H24・7・26)

    本件は、美術商が売主となり、著名な収集家所蔵の古伊万里焼、ルノワール作と告げられた絵画等の売買につき、いずれも贋作(或いは真贋が問題となるもの)であった事案で、「殊に、売主が専門家、買主が一般人である場合には、売主たる専門家は、そのような事実(注:前所有者や入手経路等)についても正確に伝えるべきであり、また、一般人である買主が売買対象の美術品の入手経路について誤解している場合には、売買契約を締結しようとする者として、これを正すべき信義則上の義務もあるということができる。」「このような専門家である売主(その代表者)と一般人である買主との間の本件絵画一のような高額な美術取引においては、売主となろうとする専門家は、買主となろうとする一般人に対し、当該美術品の市場における価値を正確に伝える信義則上の義務があるというべきである。」などと判示し、錯誤無効、売主の賠償責任を認めた事案です(判例時報2162号86頁)。

    控訴されているようですが、事案が珍しい感があることはおくとしても、専門家の責任の参考となる判断と思われます。なお、美術品の真贋に関する裁判例は、上記判例時報の解説部分にいくつか例があげられています。