弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・労働】派遣労働者と派遣先との黙示の労働契約の成立を認めた裁判例(山口地裁H25・3・13)
  • 【裁判・労働】派遣労働者と派遣先との黙示の労働契約の成立を認めた裁判例(山口地裁H25・3・13)

    山口地裁平成25年3月13日判決(労働判例1070号6頁・松田防府工場事件)は、いわゆるクーリング期間中は、派遣労働者をサポート社員として有期・直接雇用し、その後に再び派遣労働者として継続的に受け入れた後、再び派遣労働者として継続的に受け入れていた事案につき、結論として、派遣労働者と派遣元との間に、黙示の労働契約を認める重要な判断を示しました。詳細は判決文にあたっていただきたいのですが、最高裁平成21年12月18日判決(労働判例993号5頁、パナソニックプラズマディスプレイ事件)の判断にしたがったうえ、①クーリング期間経過後の派遣労働者の受け入れは本件においては派遣法40条の2等に鑑みても違法とされること、②派遣労働者と派遣元労働者との派遣労働契約も、本件では派遣法40条の2の潜脱が「組織的かつ大々的」であったとして上記最高裁判決にいう特段の事情あり、無効となること、③派遣労働者との派遣元との間では指揮命令、賃金の実質的決定権等から黙示の労働契約が成立すること、等の判断を示しています。

    大きな課題・問題ある労働者派遣法の枠組みの中で、法の趣旨(常用代替の禁止等)、労働実態等から、実態に基づき労働者救済のを図る理論構成を示すもので、実務上、重要な意義を有するものと思われます(控訴あり)。