弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【マンション・裁判】いわゆる一括検針一括徴収制度の管理組合規約を無効とした裁判例(名古屋高裁H25・2・22)
  • 【マンション・裁判】いわゆる一括検針一括徴収制度の管理組合規約を無効とした裁判例(名古屋高裁H25・2・22)

    建物の区分所有等に関する法律は、3条前段で「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」、30条1項は「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」と規定しています。

    この点、水道料につき、現実には、管理組合が、水道局との間で一個の給水契約を締結し、水道局から請求されたマンション全体の水道料金を支払っているところも少なくないようですが(いわゆる一括検針一括徴収制度)、名古屋高裁平成25年2月22日判決(判例時報2188号62頁)は、上記各法の趣旨・目的に照らせば、「専有部分である各戸の水道料金は、専ら専有部分において消費した水道の料金であり、共有者前提に影響を及ぼすものともいえないのが通常であるから、特段の事情のない限り、上記の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項には該当しない」として、額・支払方法等を定めた管理組合規約の個人(構成員)に対する効力を否定しました。

    いわゆる一括検針一括徴収制度との関係で実務上も留意が必要であり、また、立法者解釈に拘泥されない判断でもあり、参考になると思われます。