弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・金融】成年後見開始取消審判後の間もない時期に行われた金融商品取引にかかる損失につき、顧客から証券会社に対する損害賠償請求が認められた裁判例(大阪高裁H25・2・22)
  • 【裁判・金融】成年後見開始取消審判後の間もない時期に行われた金融商品取引にかかる損失につき、顧客から証券会社に対する損害賠償請求が認められた裁判例(大阪高裁H25・2・22)

    大阪高裁は、顧客の状況につき「本件取引開始(平成20年1月20日)当時、一人暮らしの満76歳の女性であって、その年齢自体、相当な高齢であることから、年齢相応に判断能力が低下していたことが容易に推認できるし、投資に関し、適切な助言ができる者が側にいたわけでもない。」「しかも、平成17年3月には、正常圧水頭症にアルツハイマー病を合併した痴呆により、判断能力が低下し、後見を開始されていたのであり、平成19年11月30日には正常圧水頭症が改善したこと等から、後見開始の審判が取り消されたものの、それから2か月も経たないうちに本件取引が開始されているのである。」と認定し、後見開始取消審判が存したとしても、「主体的な判断で証券取等を行うことが不可能な状態であったということができる。」として、証券会社へ賠償を命じました(判例時報2197号29頁。なお、過失相殺2割。確定しています)。

     

    顧客の状況は、顧客に直接会えばより一層感得されるはずですから、こうした顧客をして証券取引を行わしめる業者の実態を明らかにする意味でも、とても重要な事案と思われます。