弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・学校】高校1年生の柔道部員が試合前ウォーミングアップ中に急性硬膜下血腫を発症した事故につき、顧問教諭の過失が認められ学校法人に1億8700万円余の賠償責任が認められた裁判例(東京高裁H25・7・3)
  • 【裁判・学校】高校1年生の柔道部員が試合前ウォーミングアップ中に急性硬膜下血腫を発症した事故につき、顧問教諭の過失が認められ学校法人に1億8700万円余の賠償責任が認められた裁判例(東京高裁H25・7・3)

    いわゆる学校事故の事案であり、東京高裁は、被害生徒が約1カ月前に柔道を始めたばかりであること、試合前の練習相手と大きな技量差があったこと、試合前の練習では全力で対応すること、被告生徒が2週間ほど前に脳震盪になっていたこと等の事情から、教諭に危険が生ずる予見は可能でありながら、その対策を怠ったものとして、教諭の過失を認め、学校法人に賠償を命じたものです(判例時報2195号20頁)。なお、損害の認定にあたり過失相殺1割としています。判決は確定しています。

     

    判決が「柔道における傷害により疾病や死亡に至る事故も平成15年から8年間で86件も発生しており、そのうち55.8%が中高生に発生している」と指摘するとおり、中高校生での柔道事故は、多発・深刻な状況にあり、事後的法的賠償はもとより一学校・教諭の問題ではなく、国・学校の教育制度のあり方そのものの問題として、現代的かつ現実的な対応が急務であることを示す判決であるとも把握されます。