弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・生活保護】市の福祉事務所職員による生活保護申請の不受理、自粛勧告等の行為が違法とされ、市の国家賠償責任が認められた裁判例(さいたま地裁H25・2・20)
  • 【裁判・生活保護】市の福祉事務所職員による生活保護申請の不受理、自粛勧告等の行為が違法とされ、市の国家賠償責任が認められた裁判例(さいたま地裁H25・2・20)

    さいたま地裁は、「生活保護実施機関の義務」につき、「生活保護実施機関は、生活保護の開始の申請があったときには保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、これを書面で申請者に通知する義務を負う(生保法24条1項。以下「審査・応答義務」という。)。また、後記(2)の申請行為が認められないときでも、相談者の申請権を侵害してはならないことは明らかであり、生活保護実施機関は、生活保護制度の説明を受けるため、あるいは、生活保護を受けることを希望して、又は、生活保護の申請をしようとして来所した相談者に対し、要保護性に該当しないことが明らかな場合等でない限り、相談者の受付ないし面接の際の具体的な言動、受付ないし面接により把握した相談者に係る生活状況等から、相談者に生活保護の申請の意思があることを知り、若しくは、具体的に推知し得たのに申請の意思を確認せず、又は、扶養義務者ないし親族から扶養・援助を受けるよう求めなければ申請を受け付けない、あるいは、生活保護を受けることができない等の誤解を与える発言をした結果、申請することができなかったときなど、故意又は過失により申請権を侵害する行為をした場合には、職務上の義務違反として、これによって生じた損害について賠償する責任が認められる。」として、市の対応の違法性を認定しました(判例時報2196号88頁。確定しています)。

     

    窓口規制の問題を指摘し、行政側に適正な対応を求めるもので、実務上も参考になると思われます。