弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・労働】市の課長の、職員間の交際についての言動が、職員の私生活に対する不当な介入であるとして、国家賠償法上違法とされ、市に対し賠償が命ぜられた事案(福岡高裁H25・7・30)
  • 【裁判・労働】市の課長の、職員間の交際についての言動が、職員の私生活に対する不当な介入であるとして、国家賠償法上違法とされ、市に対し賠償が命ぜられた事案(福岡高裁H25・7・30)

    福岡高裁平成25年7月30日判決(判例時報2201号69頁)は、市の課長が勤務中に部下に対し、「市営団地で抱き合ってキスしているとの市民からの通報があった」「入社して右も左も分からない若い子を捕まえて、だまして。お前は一度失敗しているから悪く言われるんだ。」「うわさになって、美人でもなくスタイルもよくないA女が結婚できなくなったらどうするんや。」「お前は何様のつもりだ」「お前が離婚したのは、元嫁の妹に手を出したからだろうが。」「一度失敗したやつが幸せになれると思うな。親子くらいの年の差があるのに常識を考えろ。俺が野に下ったら、お前なんか仕事がまともにできると思うなよ。」などと述べたことを認定した上、かかる言動は「誹謗中傷、名誉毀損あるいは私生活に対する不当な介入」として、国家賠償法上の違法性を認定しました(賠償額33万円。判決は確定しています)。

     

    国家賠償法上の違法性が認定されて然るべき言動と思われますが、1審では違法性の認定はなく(事実認定も異なるようです)、実務上、違法性の判断基準を把握する参考になると思われます。