弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・民事】航空機の降下飛行した際の過剰な操縦操作により小腸破裂等の被害を被った事案につき、モントリオール条約35条(訴え提起期間)を適用せず、乗客の航空会社に対する損害賠償請求を認めた裁判例(大阪地裁平成24年12月12日)
  • 【裁判・民事】航空機の降下飛行した際の過剰な操縦操作により小腸破裂等の被害を被った事案につき、モントリオール条約35条(訴え提起期間)を適用せず、乗客の航空会社に対する損害賠償請求を認めた裁判例(大阪地裁平成24年12月12日)

    国際航空に関しては、大量輸送等の観点から、顧客の被害額・救済方法を制限する規定(条約)がありますが、大阪地裁平成24年12月12日は、航空会社の不誠実な対応も指摘し、「本件条項の2年の期間制限をいかなる場合にも形式的に適用しなければならないことまで本件条項が規定しているものとは解されない。本件条約が、国際航空運送における消費者の利益の保護を確保することの重要性及び喪失利益の回復の原則に基づく衡平な賠償の必要性と、国際航空運送事業の整然とした発展並びに旅客等の円滑な移動等との、均衡を図ることを趣旨としたことからすれば、国際航空運送における消費者の利益の保護と国際航空運送事業の発展との間の均衡を著しく失し、不合理な結論をもたらす特段の事情がある場合には、本件条項は適用されないと解すべきである。」と判示し、モントリオール条約(国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約)35条提訴期間制限規定の適用を排除し、航空会社に金1235万円超の賠償を命じたものです(判例時報2203号92頁)。

     

    条約そのものの当否はおくとしても、個別具体的な被害救済を図る適切な判示と思われます。

     

    なお、手荷物遅配によって海外視察をTシャツ・短パンで行うことを余儀なくされた被害事案について、航空会社の賠償責任を認めたものとして、仙台地判平成15年2月25日(判例タイムズ判決1157号157頁。最高裁で確定)があります。当時、大きく取り上げられ、同種事案も多数報告されています。

     

    支援のホームページ(判決文などあり)

    http://homepage2.nifty.com/kekkanzenkokunet/old/klm-top.htm