弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
  • HOME
  • >
  • 労働
  • >
  • 【裁判・労働】定年退職後の再任用選考における誤り等があり不合格決定は違法であるとして、国家賠償請求を認めた裁判例(福岡高裁平成25年9月27日)
  • 【裁判・労働】定年退職後の再任用選考における誤り等があり不合格決定は違法であるとして、国家賠償請求を認めた裁判例(福岡高裁平成25年9月27日)

    福岡高裁平成25年9月27日(判例時報2207号39頁)は、「本件選考審査は、従前の勤務評定等と面接審査を総合的に判断するというものであったが、被控訴人に関しては、面接審査に誤りや著しく不適切ないし不公正な記載があったから、公平、公正な面接審査をしたと認めることができない。県教委において、再任用の合否判断に広範な裁量権があるとしても、自ら選考審査手続を定めて実施した面接審査において、著しく不適切ないし公正を欠く評価がされた場合、これを判断基礎とすることが選考審査として許されないことは自明であり、裁量権を著しく逸脱するものである。仮に、このような面接審査を裁量権の範囲であるとした場合には、再任用を希望する者は、面接員による面接評価票の記載次第でいかなる結論をも受忍しなければならず、定年退職後の職業、収入が不安定になり、再任用制度の趣旨を損ねる。」「以上のとおり、本件不合格決定は、県教委の裁量権を著しく逸脱した違法なものであるから、被控訴人に対する不法行為となる。」と判示し、金270万円超えの賠償を命じました(判決は確定しています)。

     

    再任用場面における裁量逸脱の具体的判断事例として参考になると思われます。