弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・不動産】 土地建物売買において、建物販売者はその敷地についても基本的な安全性が欠けることがないよう配慮すべき義務があるする裁判例(名古屋高裁H26・10・30)
  • 【裁判・不動産】 土地建物売買において、建物販売者はその敷地についても基本的な安全性が欠けることがないよう配慮すべき義務があるする裁判例(名古屋高裁H26・10・30)

    名古屋高裁平成26年10月30日判決REITO97号92頁記事・ウエストロー2014WLJPCA10306002)は、地建物売買において、建物販売者は当該建物はもとよりその敷地についても基本的な安全性が欠けることがないよう配慮すべき義務があり、これを怠った売主(宅建業者)に対し建物沈下補修費用等の賠償を命じました。平成10年2月25日土地建物売買契約(1500万円)につき、補修費等の1312万円超えを認容したものです。

    販売者は宅建業者でもあり、売買時の調査・説明義務内容等を示すものとしても参考になると思われます。

    以下、判示部分の抜粋です。

     「建物は、その居住者をはじめとする利用者の生命、身体又は財産を危険にさらすことがないような建物としての基本的な安全性を備えていなければならず、また、建物の敷地の地盤の性状が、その上に建築される建物の基本的な安全性に重大な影響を与えることは明らかであるから、敷地の地盤も宅地に適した強度や安全性を有していなければならないのであって、建物を販売しようとする者は、当該建物はもとより、その敷地についても基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当であり、当該建物を販売する者が上記のような義務を怠ったために、建物やその敷地の地盤に基本的な安全性を損なう瑕疵があり、それによって居住者をはじめとする利用者の生命、身体又は財産が侵害された場合には、特段の事情がない限り、これによって生じた損害について不法行為による損害賠償責任を負うというべきである。」

     「これを本件についてみると、上記認定説示のとおり、本件建物及び本件土地は、被控訴人が盛土後の本件土地の地盤強度を計測して改良措置等を講ぜず、その地盤強度にふさわしい建物基礎を選択しなかった結果、地盤沈下による傾斜を生じさせやすい状態となっており、本件建物やその敷地である本件土地の地盤に基本的な安全性を損なう瑕疵があるものと認められる。」