弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・行政】補助金の目的外使用について、自治体からの補助金交付決定取消が行われていなくても、住民訴訟の対象となるとする裁判例(仙台高裁H27・7・15)
  • 【裁判・行政】補助金の目的外使用について、自治体からの補助金交付決定取消が行われていなくても、住民訴訟の対象となるとする裁判例(仙台高裁H27・7・15)

    原審(盛岡地裁平成26年12月19日)が「取消権を行使することによって発生する不当利得返還請求権が『債権』に該当するということはできず」などと誤った判断を行ったものを、仙台高裁平成27年7月15日判決(判例時報2272号35頁)が原判決を取り消し、正しく是正したものです。

    自治体が形式的な「取消権」を行使しなければ住民訴訟の対象にならないとすれば、住民が違法・不当な自治体の会計行為の是正を図る住民訴訟の意義を殆ど失わせるものです。本件は当事務所も関与させていただいておりますが、原審(盛岡地裁)は、その結論はもとより充実した審理に向けた熱意も感じられず、これでは司法に対する期待や信頼が大きく失われてしまうのではないかと思われるほど残念な状況でした。

    住民訴訟の参考としてアップします。