弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・刑事】起訴後の被告人の取調べの適法性を否定し、その供述が任意にされたものではない疑いがあるとして、供述調書の証拠能力を否定した裁判例(東京地裁H27・7・7)
  • 【裁判・刑事】起訴後の被告人の取調べの適法性を否定し、その供述が任意にされたものではない疑いがあるとして、供述調書の証拠能力を否定した裁判例(東京地裁H27・7・7)

    東京地裁平成27年7月7日判決(判例時報2315号132頁)は、最高裁昭和36年11月21日(刑集15巻10号1764頁、判例時報281号30頁、判例タイムズ126号49頁)の「刑訴一九七条は、捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる旨を規定しており、同条は捜査官の任意捜査について何ら制限をしていないから、同法一九八条の「被疑者」という文字にかかわりなく、起訴後においても、捜査官はその公訴を維持するために必要な取調を行うことができるものといわなければならない。なるほど起訴後においては被告人の当事者たる地位にかんがみ、捜査官が当該公訴事実について被告人を取り調べることはなるべく避けなければならないところであるが、これによって直ちにその取調を違法とし、その取調の上作成された供述調書の証拠能力を否定すべきいわれはなく、また、勾留中の取調であるのゆえをもって、直ちにその供述が強制されたものであるということもできない。」との規範を踏まえたうえで、否認していること等などの事情から、起訴後の取調べの適法性を否定したものです。