【裁判・不動産取引】売主が悪意の瑕疵について、瑕疵担保責任短縮特約の適用を制限し、売主の担保責任を認めた裁判例(東京地裁H28・1・27)
東京地裁平成28年1月27日判決(判例秘書L07130125。REITO105号84頁に概要あり)は、居室の天井水漏れについて、「被告Y2は、瑕疵担保責任について除斥期間(期間制限特約により引渡しから3か月)が経過していると主張するが、被告Y1が、本件建物の301号室にかつて水漏れがあったことを認識しながら、本件売買契約締結の際に原告に対して同室にそれまでに雨漏りが発生したことはないとして事実と異なる告知をしていたこと(認定事実(3)及び(10))などに照らすと、被告Y1は、水漏れに関して殊更に隠そうとする意図を有していたと考えられ、同契約の時点において、同室に水漏れが存在することを認識していたと考えるのが合理的である。そうすると、被告Y1は、同契約の締結に当たって、同室の水漏れの事実を知りながら、原告に告げていなかったことになるところ、被告Y1について、瑕疵担保責任の除斥期間を短縮する期間制限特約により免責することは、信義に著しくもとるものであり、悪意の売主につき瑕疵担保責任免責特約の効力を否定する民法572条の法意に照らし、許されないというべきである。」として、159万円の賠償を命じました。
瑕疵担保短縮特約はよく見られる規定ですが、その適用制限例として、実務上、参考になるものです。
※ 民法572条
(担保責任を負わない旨の特約)
第五百七十二条 売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
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