弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・相続】裁判所が民法941条1項(相続債権者又は受遺者の請求による財産分離)の規定に基づく財産分離を命じることができる場合を示した最高裁決定(H29・11・28)
  • 【裁判・相続】裁判所が民法941条1項(相続債権者又は受遺者の請求による財産分離)の規定に基づく財産分離を命じることができる場合を示した最高裁決定(H29・11・28)

    民法941条1項は「相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から三箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。」と規定しているのみであるところ、最高裁平成29年11月28日決定(金融商事判例1532号8頁)は、「家庭裁判所は、相続人がその固有財産について債務超過の状態にあり又はそのような状態に陥るおそれがあることなどから、相続財産と相続人の固有財産とが混同することによって相続債権者等がその債権の全部又は一部の弁済を受けることが困難と認められる場合に、民法941条1項の規定に基づき、財産分離を命ずることができるものと解するのが相当である。」として同規定に基づき裁判所が財産分離を命じることができる場面(事案)を示しました。

     

    相続の場面でよくある事案ではないですが、1・2審での判断が分かれていたこともあり、実務上、重要な判断と思われます。