
【裁判・相続】共同相続人間における無償による相続分の譲渡は民法903条1項の「贈与」にあたるとする最高裁判例(平成30年10月19日)
金融・商事判例1558号8頁に掲載されています。
1審(さいたま地判平成28年12月21日)、原審(東京高判平成29年6月22日)は該当性を否定していたものです。
最高裁は「共同相続人間で相続分の譲渡がされたときは、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転し、相続分の譲渡に伴って個々の相続財産についての共有持分の移転も生ずるものと解される。そして、相続分の譲渡を受けた共同相続人は、従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分とを合計した相続分を有する者として遺産分割手続等に加わり、当該遺産分割手続等において、他の共同相続人に対し、従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分との合計に相当する価額の相続財産の分配を求めることができることとなる。このように、相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、譲渡人から譲受人に対し経済的利益を合意によって移転するものということができる。遺産の分割が相続開始の時に遡ってその効力を生ずる(民法909条本文)とされていることは、以上のように解することの妨げとなるものではない。したがって、共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、上記譲渡をした者の相続において、民法903条1項に規定する「贈与」に当たる。」と判示したもので実務上留意が必要と思われます。
【裁判・民事再生】小規模個人再生における住宅資金特別条項を定めた再生計画案の可否が信義則違反か否かを判断するにあたって、無異議債権の存否等も考慮し得るとする最高裁決定(H29・12・29)
実務上、当該事案のみならず最高裁の判断の視点が示されているものと言われ、重視されているものです。
最高裁HPにも掲載されています。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87339
【建築・参考】建築士事務所の業務報酬基準の10年ぶりの改訂(国土交通省HP)
国土交通省のHPに掲載されています(1月21日付け)。
http://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000762.html
今後、全国で研修がなされるとのことですが、ご参考まで。
【裁判・民事】折り畳み式自転車のサドルを支えるシートポストの破断事故について、製造物責任法の欠陥が存するとした裁判例(東京高裁H30・7・25)
金融・商事判例1552号34頁に掲載されています。
「自転車の通常の使用方法に従い、取扱説明書(丙2)の記載に違反することなく使用してきたにもかかわらず発生したもの」として欠陥が認定されており、製造物責任法の規定・趣旨に合致した判断と思われます。原審は破棄し差戻す判決ですので賠償額は未定ですが、上告受理申立てがなされているとのことで、最終の確定までは時間を要するものと思われます。
【裁判・民事】貸金の連帯保証人に意思能力がなかったとして連帯保証人への請求を排斥した裁判例(東京高裁H30・8・9)
金融・商事判例1553号37頁に掲載されています。
原審(静岡地裁沼津支部平成30年2月9日判決)も同様の判断で、銀行側の請求が認められなかったものです(銀行敗訴)。連帯保証当時、保証人は84歳で脳の言語領域の損傷などが存したとのことで、そもそも、保証契約を締結した銀行側の問題も伺われるところです。保証場面の意思能力を巡る紛争は少なくなく参考になるものです。
【裁判・行政】給付型奨学金を収入認定の控除対象か否かの検討を行わず全額収入認定した更正処分が、国賠法上の違法行為と認めた裁判例(福島地裁H30・1・30)
判例地方自治439号92頁に掲載されています。
社会的にも注目され行政側の対応が批判されていたものです。とくに子どもの通学・学習の権利実現への配慮を欠くもので、行政側に改善等が求められるものです。合計10万円の賠償が命ぜられています(確定しています)。
【裁判・行政】建築基準基準法42条1項3号の道路該当性を不明としながら建築可能として固定資産評価を行った高裁判断を違法とした最高裁判例(H30・7・17)
判例地方自治439号26頁に掲載されています。
最高裁平成30年7月17日は、「建築基準法42条1項3号は、同法第3章の規定が適用されるに至った際現に存在する道で、幅員4m以上のものを道路とする旨定めている。これは、客観的にこれらの要件を満たす道については、そのことのみをもって当然に42条道路とする趣旨であると解される。そして、ある道が3号道路に該当するか否かについて、市町村長等がその判定をする法令上の根拠も見当たらない。」「そうすると、3号道路該当性に関する京都市長の道路判定は、事実上の確認行為にすぎないというべきであり、当該道が3号道路に該当し、又は該当しないことを確定する効果を持つ行政処分の性質を有するものではないと解される。」としたうえ、「被上告人においては、道路判定の内容が道路縦覧図に表示され、建築確認に際しては、その運用上、上記の表示等をも参照して、当該道が3号道路に該当するか否かの判断がされていることがうかがわれるが、上記のような道路判定の性質に照らせば、当該道の3号道路該当性につき、建築主事等が道路判定と異なる判断をすることを妨げられるものではない。そして、本件街路が3号道路に該当するか否かは、昭和25年11月23日時点で本件街路が幅員4m以上の道として存在した事実が客観的に認められるか否かにより定まる以上、このような事実が認められず、本件街路が3号道路に該当するということができない場合には、本件道路判定がされていても、建築主事等は、本件各土地が3号道路に接していることを前提とした建築確認をすることはできない。」と述べ、「したがって、本件街路が3号道路に該当するための要件を満たすか否かは明らかでないとしながら、本件道路判定がされていること等を理由に、建築確認を受けることができないために本件各土地上に建築物を建築することができない事態となる可能性はないとして、本件街路が3号道路に該当することを前提とする本件登録価格の決定は適法であるとした原審の判断には、固定資産の評価等に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。」と判示しました(原審へ差戻)。
安易に行政判断を基礎に判断することへの警鐘ともいえ、実務上も参考となる考え方と思われます。
【裁判・破産】第三債務者の差押債権者に対する弁済につき、破産法162条1項の否認権行使の対象とならないとした最高裁判決(H29・12・19)
地裁・高裁はあたるとしたもので、実務上も重要な判断といわれています。
事案・判決は最高裁HPに掲載されています。http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87318
【消費者・参考】消費者問題に関する2018年の10大項目(国民生活センターHP)
毎年公表されているものです。
「2018年は、「架空請求」の相談が激増した他、「オーナー商法」や「シェアハウス投資」でのトラブルが相次ぎました。また、2022年に成年年齢を18歳に引き下げる改正民法が成立した年となりました。」とのことで詳しくは下記ページで見られます。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20181220_2.html
本年も宜しくお願い申し上げます(2019(平成31)年の司法関係者新年挨拶など掲載)
本年も事務所一同、皆様・社会に役立てるよう日々与えられた立場を全うすべく業務に取り組みますので、
何卒、宜しくお願い申し上げます。
司法関係の挨拶です。現時点で新年のものが未掲載の機関もあり、就任挨拶等の掲載となっています。
日本弁護士連合会・菊地裕太郎会長(1月1日掲載)
https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/organization/message.html
最高裁判所・大谷直人長官(1月4日掲載)
http://www.courts.go.jp/about/topics/sinnennokotoba_h31/index.html
検察庁・稲田伸夫検事総長(2018(平成30年)7月25日就任挨拶)
http://www.kensatsu.go.jp/kenjisouchou/index.htm
法務省・山下貴司大臣(2018(平成30)年10月3日就任時訓示)
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_01052.html
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