弁護士メモ|千葉晃平のひとこと
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  • 【裁判・家族】面会交流拒絶の強制金を1回5万円とした原決定を変更し、20万円とした裁判例(大阪高裁平成30年3月22日)

    判例タイムズ1455号68頁に掲載されています。

    約3年間面会交流を拒否し続けたことや収入・経済状況等も考慮し、心理的強制を与える額として示されたものです。

    【裁判・建築】マンションの自動車車庫が「直接地上へ通ずる出入口のある階」になく「避難階段」が設置されていないとして、ほぼ完成・107戸完売のマンション建築確認の取り消しを認めた裁判例(東京地裁平成30年5月24日)

    判例時報2388号3頁に掲載されています。

    社会的・建築業界でも話題になっている東京のマンションです。行政段階の審査請求でも取消が認められるなか、裁判所の判断が出されたものです。マンションがほぼ完成・完売しているという現状を安易に追認せず、建築関係法令の規定・趣旨からの判断を示したもので、建築実務上も参考になるものです(控訴あり)。

     

    【裁判・民事】底地購入者の事実的・法律的根拠を欠く土地明渡請求訴訟は不法行為に該当するとして、借地人の慰謝料請求を認めた事例(東京地裁H28・10・21)

    レイト108号148頁に概要・解説が載っています(ウエストローにも掲載されています)。賠償額は慰謝料10万円、弁護士費用1万円です。 

    訴えの提起を違法とする規範は最高裁昭和63年1月26日(判例時報1281号91頁)があり、無断転貸を知りながら3年余り異議を述べなかった事案について黙示の承諾を認めた最高裁昭和40年6月29日(裁判所HP)がありますが、本件は、10年以上も前の無断改築を理由とする明渡請求であり、前記各最高裁に照らしても、違法評価されて然るべきものと思われます。

    【裁判・民事】民事訴訟における名誉棄損表現を含む内容の陳述書の作成・提出行為を違法とする損害賠償請求を排斥した裁判例(大阪地裁平成30年1月11日)

    判例タイムズ1455号211頁に掲載されています。

    大阪地裁は次のように述べており、争いある訴訟では、結果的には当事者の一方が事実に反する主張を行っていたとならざるを得ない側面もあることからすれば、穏当な判断と思われます。

     

    「民事訴訟における陳述書が主尋問を一部代替又は補完する機能を有していることからすれば、その内容の真実性が要請されるものであることは疑いなく、作成者があえて内容が虚偽の陳述書を作成して実態の解明を阻害することが許されないことは、いうまでもない。しかしながら、陳述書が、訴訟を念頭に置いて作成されるものであって、作成者の法廷での供述内容を事前に相手方に明らかにする証拠開示機能(反対尋問権保障機能)を有していることを踏まえると、その真実性の要請のみを過度に重視すべきではない。すなわち、仮に、訴訟において書証として提出された陳述書に当事者等の社会的評価を低下させる事実や当事者等の名誉感情を害する事実が記載されている場合に、同事実が裁判所に認定されなかったときや同事実と相容れない事実が裁判所によって認定されたときに、当該陳述書を作成し訴訟において書証として提出する行為が直ちに違法と評価されるとすれば、陳述書の作成者は自己の認識にかかわらず裁判所によって認定されることが確実と思われる事実しか記載しなくなるため、陳述書の前記各機能が失われるとともに当事者の立証活動に大きな萎縮的効果が生じ、ひいては実態の解明を困難にするなど、民事訴訟の運営に支障を来す事態が容易に生じ得るといえる。」「そこで、当事者等の社会的評価を低下させる事実や当事者等の名誉感情を害する事実が記載された陳述書を作成し訴訟において書証として提出する行為は、作成者が陳述書記載の当該事実の内容が虚偽であることを認識しつつあえてこれを記載して行った場合に限り、違法性を帯びるというべきである。」

    【裁判・家族】被扶養者(母)から扶養義務者(子ども)に対する扶養料支払請求において、扶養義務者の配偶者との生活分担生活費に関して配偶者の収入を斟酌することができるとした裁判例(広島高裁平成29年3月31日)

    判例時報2388号33頁に掲載されています(確定)。

    「分担額を検討するに当たり、扶養義務者でない妻の収入を合算して余力の有無を検討することは相当ではないが、他方で、抗告人夫婦で分担すべき生活費に関して、扶養義務者が分担すべき額を検討するに際して妻の収入を斟酌することは当然に許される。」と述べています。やや分かりにくい面もあるかもしれませんが、家族法(親族法)分野においては裁判所の裁量的判断の余地が広いことの例のひとつともいえ、また、こうした事案の参考になるものです。

    【裁判・交通事故】非接触事故で被害自動車同乗者の頚椎捻挫等の法的損害(因果関係)を認めるとともに、安易な自動車工学専門家の私的鑑定書を排斥した裁判例(東京高裁平成30年8月8日)

    判例タイムズ1455号61頁に掲載されています(確定)。
    加害者・保険会社から被害救済の視点からは妥当性を欠くと思われる「立証せよ」との主張が徒になされる事案も少なくないですが、そうした加害者・保険会社側の被害実態を無視するような主張の問題性を示す判断でもあり、被害救済に参考になると思われます。

    【裁判・家族】被扶養者(母)から扶養義務者(子ども)に対する扶養料支払請求において、扶養義務者の配偶者との生活分担生活費に関して配偶者の収入を斟酌することができるとした裁判例(広島高裁平成29年3月31日)

    判例時報2388号33頁に掲載されています(確定)。

    「分担額を検討するに当たり、扶養義務者でない妻の収入を合算して余力の有無を検討することは相当ではないが、他方で、抗告人夫婦で分担すべき生活費に関して、扶養義務者が分担すべき額を検討するに際して妻の収入を斟酌することは当然に許される。」と述べています。やや分かりにくい面もあるかもしれませんが、家族法(親族法)分野においては裁判所の裁量的判断の余地が広いことの例のひとつともいえ、また、こうした事案の参考になるものです。

    【裁判・労働】月80時間分相当の固定残業代の有効性を否定し、未払賃金・付加金の支払いを命じた事例(東京高裁平成30年10月4日)

    労働判例1190号5頁に掲載されています。

    このような固定残業代の定め自体を公序良俗に違反するものとして、一審(東京地裁平成29年10月16日)とは異なり、労働者の主張・請求を広く認めたものです。固定残業代の考え方など実務上も参考になるものです。

    【裁判・差止】雑誌の記事が人格権(名誉・プライバシ)の侵害にあたるとして、販売済の雑誌の販売・領布の禁止・回収を命じた仮処分(札幌高裁平成30年5月22日)

    判例時報2388号42頁に掲載されています(確定)。

    表現の自由の関係もあり雑誌販売の差止めを認める例は多くなく、本件一審(旭川地裁平成30年3月13日)も差止めを認めませんでしたが、札幌高裁は、とくに記事内にクレジットカード明細、振込データ(銀行口座含む)などが書かれていることを重視したようです。

    事例としても興味深いうえ、決定主文も当該雑誌を「販売委託先及び販売先から回収し、これを旭川地方裁判所執行官に引き渡さなければならない。」とされています。