
【参考・情報】月刊国民生活3月号 キャッシュレス化と暮らしの特集(国民生活センターHP)
「月刊国民生活」は、国民生活センターHPで閲覧・ダウンロードできます。
今月は「進むキャッシュレス化と暮らし」の特集があります。急激な社会の変化のなか参考になるかと思います。
http://www.kokusen.go.jp/wko/index.html
【裁判・学校】中学2年生の女子卓球部員が練習場の校舎4階から転落し重大な後遺障害を負うに至った事案につき、学校側は転落防止策をとったうえで廊下の窓を開ける作業を指示すべきであったとして学校を設置する町に損害賠償を命じた裁判例(広島地裁H30・3・30)
判例時報2392号35頁に掲載されています。
被害に遭われた方々の救済はもちろんのこと、学校は安全であるべきで、また、そうあって欲しいという観点からも、判決内容から現場が学ぶことも多いと思われます(確定)。
【裁判・刑事】警察官が参考人が供述していない内容を付け加えて記載した供述調書疎明資料として捜索差押許可状を受け大麻を差押えた事案について、捜査・証拠取得の重大な違法性から無罪とした裁判例(横浜地裁H28・12・12)
判例時報2392号91頁に掲載されています。
捜査機関の重大な問題であり、捜査機関の一体性や組織実態からは、偶発的・単発的な事案とは考え難く、今後とも係る観点から裁判所の審査が必要とされるものと思われます(確定)。
【裁判・民事】被害者の行使する自賠責16条1項に基づく請求額と労働者災害補償保険法12条の4第1項により国が行使する請求額の合計額が自賠責保険の保険金額を超える場合、被害者は国に優先して賠償額の支払いを受けられるとする最高裁判例(H30・9・27)
金融・商事判例1550号14頁に掲載されています。
被害者の直接請求権については、最判平成30年2月19日が被害者優先説の考え方を示していましたが、それが労災保険の事案にも妥当することを示したもので、自賠責や裁判実務上も重要な判断です。
【裁判・民事】盗難車による事故につき、車両保有者の運行供用者責任を否定した裁判例(名古屋地裁H30・6・6)
判例時報2390号92頁に掲載されています。
盗難車であることから直ちに運行供用者責任が否定されるものではありませんが、本判決は、被害届が出されていること、加害者車両が警察の追跡を受けていたこと、その追跡を受けている途中での事故であることなどから運行供用者責任を否定したもので。他方、運転者がエンジンをかけたまま車両を離れていた事情もあり、微妙な事案とも思われ、控訴もされています。
【裁判・行政】監査請求人の氏名・住所・職業等が記載された名簿(写し)を市議会議員の全員協議会の出席者に配布した行為がプライバシ―侵害にあたるとして賠償を命じた裁判例(大津地裁H30・2・27)
判例時報2387号115頁に掲載されています(確定)。
賠償額は原告1名6000円です。
市側の弁解に対し次のように厳しく指摘し排斥しており、行政の現場としても参考になるものと思われます。
「被告は、C議員らやA市長が本件名簿の開示を要請したのは、本件監査請求に対し、高島市議会としての対応を決する上で必要だったのであり、加えて、本件監査請求の適法性を確認するとともに、以前の監査請求との関連性や住民訴訟提起の可能性等を検討する上でも、請求人が誰であるかを確認する必要性があったこと等から、本件開示行為は、所掌事務遂行のために必要であった旨主張する。」「しかしながら、住民監査請求は地方公共団体の住民であれば誰でもすることができ、住民監査請求があった場合、監査委員が監査を行うこととされており、その過程に議会及び議員が関与することは予定されていない(地方自治法242条)。したがって、被告市議会が本件監査請求自体に対応する場面は想定されておらず、同項所定の勧告への対応についても、あるいは、住民訴訟が提起された場合の対応についても、監査請求の内容と理由が判明していれば足るのであって、誰がその請求をしたのかを知る必要はない。また、請求人が高島市の住民であるか否かという点は、監査請求の適法要件にすぎず、選挙で住民の代表として選出された市議らが本件全員協議会においてわざわざ確認する必要がある事項とは考え難い。以前の監査請求との関連性についても、請求人の異同を確認すれば足り、誰が請求人であるかを個別に確認までする必要はないし、住民訴訟提起の可能性についても同様である。さらに、本件名簿の写しが開示されたことが、その後の被告議会の具体的な対応にどのように結び付いたのかについても、全く明らかではない(C市議らの陳述書(乙2~4)にも、そのことには一切触れられていない。)。以上のとおり、被告が主張する理由は、いずれも本件名簿の開示まで求める必要性を基礎付けることが全くできておらず、かえって、本件訴訟に至っても、このような主張しか提出できないこと自体、C市議らが本件名簿の開示を求めたことを正当化できる必要性が存在しなかったことを強く窺わせる。そして、A市長も、同様に、個人情報の開示の必要性について十分に検討することなく、C議員らに求めに応じてB事務局長に本件名簿の提出を命じ、同事務局長も同様にこれに応じたというほかない。」
【裁判・破産】仮想通貨ビットコインの交換取引所運営会社の破産に関し、利用者主張の破産債権額が認められなかった事例(東京地裁H30・1・31)
判例時報2387号108頁に掲載されています。
利用者主張のビットコイン保有自体が否定された事案のようですが、仮想通貨事案として参考になろうかとは思われます。
【裁判・民事】貸金業者が弁護士の求めに反して本人の口座へ過払金を送金する行為は、弁護士業務の妨害行為を構成するとして、業者に損害賠償を命じた裁判例(金沢地裁H30・11・8)
判例時報2391号23頁に掲載されています。
弁護士の通知発送手数料・郵送料・印刷代・弁護士費用が損害となるとして金3万円と遅延損害金の支払いを命じたものです。
原々審判決では精神的損害(5000円)のみの認定であったようですが、本判決は財産的損害を認定していることなど、実務上も参考になるものです。判例時報の解説部分に過去の参考裁判例も指摘されています。
【裁判・震災】東日本大震災(津波)にかかる宮城県石巻市大川小学校の児童の死亡について、学校組織上の注意義務違反を認めた裁判例(仙台高裁平成30年4月26日)
本件は既に広く報道され裁判所HPに全文掲載されていますが、近時、判例時報2387号31頁にも掲載されました。
裁判所HP http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87735
判例時報の解説欄では「学校事故における安全確保義務のほとんどは、教師個人の問題とされる。しかし、教育活動に伴って生ずる危険から、生徒の生命・身体の安全を確保する義務は、直接、教育活動を指導する教師個人にあることはいまでもないが、それよりも第一次的には、教育組織としての学校自体にあると解され、したがって、学校という組織の管理上の過失を問題としていくことが先決であるとされていた(伊藤進=織田博子・実務判例解説学校事故(三省堂・1992)822)。」と述べられています。
高裁判決は、被災児童の慰謝料に関する判断として「被災児童は、死亡当時、いずれも8歳から12歳の小学生であり、第1審原告らを含む両親や祖父母らの愛情を一身に受けて順調に成長し、将来についても限りない可能性を有していたにもかかわらず、本件津波によって、突然命を絶たれてしまったものである。また、被災児童は、本件地震発生直後は、大川小の教職員の指導に従って無事に校庭に二次避難し、その後も校庭において二次避難を継続しながら教職員の次の指示を大人しく待っていたものであり、その挙げ句、三次避難の開始が遅れて本件津波に呑まれ息を引き取ったものであって、死に至る態様も痛ましいものであり、被災児童の無念の心情と恐怖及び苦痛は筆舌に尽くし難いものと認められる。」と述べ、ご遺族の固有の慰謝料に関する判断として、「第1審原告らにとって、被災児童はかけがえのない存在であり、日々の生活は被災児童を中心に営まれていたといっても過言ではないほど、第1審原告らは被災児童に愛情を注ぎ、その成長に目を細め、その将来に期待を抱いていた。そのような被災児童を本件津波によって突然奪われてしまった第1審原告らの苦痛や無念さは計り知れず、本件津波から7年以上の月日を経てもなお第1審原告らは辛く苦しい日々を過ごすことを余儀なくされている。また、本件津波後、第1審原告らは、大川小の周辺がぬかるんだ土砂と瓦礫に埋め尽くされた中、自らスコップ等を片手に必死に我が子の姿を捜し求め、変わり果てた姿となった我が子に対面し、遺体を清拭することもかなわずに葬らざるを得なかった(甲A134~136の各1・2、甲A137、甲A138~140の各1・2、甲A141~144、甲A146~148の各1・2、甲A149~153)。以上のほか、本件に顕れた一切の事情を総合考慮すると、第1審原告らそれぞれの固有の慰謝料として、被災児童一名当たり各500万円を認めるのが相当である。」「また、被災児童のうちB16及びB22の遺体は、現在まで発見されていないところ、その保護者である第1審原告A19、同A20及び同A27は、現在もなお見つからない我が子の姿を追い求め、捜索活動を続けており、我が子の遺体が発見された遺族に優る辛苦を味わっていることが認められること(甲A135の1・2、甲A143)から、同原告らに対しては、一人当たり別途100万円の慰謝料を加算するのが相当である。」と述べています。
3月11日をむかえ、今一度、あの日からの全てのことを心に刻みたいと思います。
【裁判・民事】社会人サッカーリーグのプレー中の接触・負傷事故につき、社会的相当性を超えるとして賠償を命じた裁判例(東京地裁H28・12・26)
判例時報2392号29頁に掲載されています。
反則行為とは判定されなかったようですが、サッカーの試合に出場する者は一定程度の危険を引き受けているとしても、本件はその範囲を超えるものと判断したもので、スポーツ事故における法的問題の取扱いに参考となるものと思われます。賠償額は247万円超(治療費約34万円、慰謝料約170万円など)です(控訴あり)。
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